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アルトバ文具店
『恵風の筆』(イーハトーヴ・アーケイディアン様)
「うーん」
(?)
本を前にして唸るイーハトーヴの姿は珍しいものでは無い。
書物のなかにある知識を求め、時には夜が更けても難題を追いかけるイーハトーヴの姿をオフィーリアはよく知っている。(そして何度もたしなめているというのに、この子ったら! 一度集中しだしたら全然人の話を聞いていないんだもの)
ただ今回は少しばかり様子が違うようだ。
(それ、文具屋さんが借してくれた本でしょう)
「うん!」
イーハトーヴは本から視線を外した。
太陽の花に似た笑顔が弾け、頷いた拍子に紅紫の前髪がゆるりと形の良い額を撫でる。
実際には「借りた本」というよりも「相手に押し付けられた本」といった方が正しいのだが
そこは指摘しない方が良いのだろうとオフィーリアは空気を読んで会話を続ける。
(何か分からないところでもあるの?)
「分からないというか、うーん」
イーハトーヴは苦笑に近い微笑みを浮かべながら歯切れ悪く答えた。
文具屋から借りる本と言えば童話か詩集か。
今のところ6:4の割合で童話の方が多めであるが、今日は詩集であったようだ。
「これ、春の詩集なんだって。春風と仲良しな白兎の詩だとか、優しい雲雀の止まり木になる若木とか、兄と弟が日によってくるくる変わる四月と五月の詩とか。素敵な詩がいっぱい、いーっぱい書いてあるんだけど……」
(ええ)
「これを読んで、俺の事を思い出したって文お兄ちゃんが言うんだ。どういう意味だと思う、オフィーリア?」
本当に困った様子のイーハトーヴを見上げ、オフィーリアは沈黙した。
沈黙して、ここ最近のイーハトーヴの行動を思い返して、なおかつ熟考した。
(……そのまんまの意味じゃないかしら?)
「そうかな」
(きっとそうよ)
「ふふっ、だったら嬉しいなぁ」
(ねぇ、白兎の詩ってどんな詩?)
「ちょっと待ってね、えーっと」
嬉しそうに笑うイーハトーヴの膝の上。甘えるようにオフィーリアは背中をくっつけた。
――Thank you !!
「うーん」
(?)
本を前にして唸るイーハトーヴの姿は珍しいものでは無い。
書物のなかにある知識を求め、時には夜が更けても難題を追いかけるイーハトーヴの姿をオフィーリアはよく知っている。(そして何度もたしなめているというのに、この子ったら! 一度集中しだしたら全然人の話を聞いていないんだもの)
ただ今回は少しばかり様子が違うようだ。
(それ、文具屋さんが借してくれた本でしょう)
「うん!」
イーハトーヴは本から視線を外した。
太陽の花に似た笑顔が弾け、頷いた拍子に紅紫の前髪がゆるりと形の良い額を撫でる。
実際には「借りた本」というよりも「相手に押し付けられた本」といった方が正しいのだが
そこは指摘しない方が良いのだろうとオフィーリアは空気を読んで会話を続ける。
(何か分からないところでもあるの?)
「分からないというか、うーん」
イーハトーヴは苦笑に近い微笑みを浮かべながら歯切れ悪く答えた。
文具屋から借りる本と言えば童話か詩集か。
今のところ6:4の割合で童話の方が多めであるが、今日は詩集であったようだ。
「これ、春の詩集なんだって。春風と仲良しな白兎の詩だとか、優しい雲雀の止まり木になる若木とか、兄と弟が日によってくるくる変わる四月と五月の詩とか。素敵な詩がいっぱい、いーっぱい書いてあるんだけど……」
(ええ)
「これを読んで、俺の事を思い出したって文お兄ちゃんが言うんだ。どういう意味だと思う、オフィーリア?」
本当に困った様子のイーハトーヴを見上げ、オフィーリアは沈黙した。
沈黙して、ここ最近のイーハトーヴの行動を思い返して、なおかつ熟考した。
(……そのまんまの意味じゃないかしら?)
「そうかな」
(きっとそうよ)
「ふふっ、だったら嬉しいなぁ」
(ねぇ、白兎の詩ってどんな詩?)
「ちょっと待ってね、えーっと」
嬉しそうに笑うイーハトーヴの膝の上。甘えるようにオフィーリアは背中をくっつけた。
――Thank you !!
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四年という歳月は短く、長い。