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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常

 外面を整えまくっている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約が必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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全知全能であればこそ、だ。
必要とあらばどんな智慧もたちまち引き出すことができたが、そうでなければ無と同じ。
まして今のわたしはそれを失った身、人として学んでゆくしかない。
昔々、全能ならぬわたしがかつて歩んだ道だ。いずれ同じ場所へ辿り着けよう。
(差し出された手を少し見た後に、そっと手を取り)
ああ、小さき者の習慣だったな。そちらこそ、わたしの興味と敬意を満たしてくれることを期待しているぞ。
(ひんやりと冷えた手で、やんわりと力を込めて握手する)

ところで。
わたしは知っている、新たな物語を紡ぐにはそれなりに時間がかかると。
その間、わたしはここで何をしよう。すべては権能を取り戻すための道程だ、何かして欲しいことはないだろうか?

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