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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常

 外面を整えまくっている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約が必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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なんだその暴論は。……いや邪神論か?
ともかく、どっちみち君が邪神だろうが何だろうが此処では混沌肯定が……
……
(不意に言葉を止め、改めてビー玉大になったそれを見る。それからテーブルや席の周りにある物をチラチラと見回して、ちょっとだけ考えてから溜息を一つ)

……あー、ラクタ?
別に俺は逆らうとは言ってない。と言うか逆らわん。面倒だからな。
(首を曲げコキリと鳴らせてからよっこいせと席から立ち上がる)

……それで、要求は他の旅人の伝記で良いのかね?

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