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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常

 外面を整えまくっている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約が必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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まあ、星の火より熱い物はこの世界にはそうそうないと思うが……
(頭をガリガリと掻いて)
その、多分だが君は混沌肯定って奴によってその辺の丈夫さも大分……いや、天文学的な分量が削られてると思うし……普通を学ぶというか、昔の認識のままだと色々と危ないと、思う。
……無事だった見たいだから良いんだがね。

(掻くのを顎に変えて少し考え込む)
「複雑さ」ね……ふむ。
(少しの名目の後、片目ずつ目を開けて珈琲を一口)
……意味的と言うか、概念的と言うか、兎も角物理的な物では無い事は分かる。
一番近い言葉を無理矢理出すなら、情報……か?
いや、シンプルな情報もあるか……複雑な情報、では結局範囲を狭めただけだな。……とすると矢張り結局『複雑さ』と言うのが最も過不足なく正しい表現な訳か……

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