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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常

 外面を整えまくっている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約が必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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(大きく広げていた両手を閉じて、小ささをアピールするように胸前で手の平を組む)
すべては考え方の問題だ。
わたしはこちらに来ていくつかの文献を見聞したが、ここではない世界の話、ああ、旅人の話ではなく創作の民話などだ。そのようなもので見かけたことがある。
たとえば、巨人の国。その国では、巨人が巨大な箱……何度も言い間違えていた、家か。巨大な家に住み、巨大な武器を振り回して主人公を追いかけたりする。
わたしはそういったものだ。巨大な宇宙に住み、巨大な星々を糧にした、より大きな大きな巨人というだけだ。
それは勿論、瑣末な部分に差はあろうが、やはり知的な生命体なのだよ。

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