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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常

 外面を整えまくっている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約が必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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(開いた扉にガバっと起き上がり)……ふむ(取り敢えず金持ちの類で無さそうな事を確認して顎の不精髭を撫でつつ息を吐く)……よっこらせ、と(年寄り臭い掛け声とともに起き上がり、トントンと腰を叩きながら入り口に近づいて)
ま、ともかくいらっしゃいませだお嬢ちゃん。
お前さんはウォーカーなのか?
だとしたらその認識は間違ってねえし、俺は腹痛と財布を落とした時以外は無宗派なんでね。礼拝なんてしてないから気にしないでくれ。
(灰皿を机の隅に押しやり、前の席を指さす)
ま、ま、お客さんなら先ずは座ってくれ。
流石の俺も、レディを立たせてのうのうと喋る様な趣味は持って無いんでね。

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