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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常

 外面を整えまくっている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約が必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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あ゛ー(上等なソファをベッド代わりに、ダラーっと仰向けに寝転がっている、口にはシケモク。これはまた上等な大理石のテーブルの上に無造作に置かれた安物の灰皿の上には大量の煙草。シケモクの補充は充分らしい……) くっそ、暇だな。なんかねえかな。仕事が入ったら入ったで面倒だが、全くないのもなあ……前の仕事、もうちょっと引っ張って後指一本分くらい分厚くすればよかったか……

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