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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常2

 外面ばかり整えている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約が必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男や男に近しい者にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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……そう、か。
確かに、ただ聞いてくれる相手が欲しい時と言うのは、俺にも覚えがある。
(少し考え込む様に腕組みをする)

いや……我ながら恥ずかしい話だが、後先考えずに動いてしまう事も極稀にあるのでね。極稀だ。極稀なのだが……どうにも、狙いすました様に肝心な時に限ってその極稀が来そうで僅かに不安ではある訳で……(ゴニョゴニョ)

フォルデルマン三世主催の王宮舞踏会か……華やかなパーティが似合う身とは言えないが、しかし賑やかし位にはなれるかね。
どんな参加者が集まるか、興味が無いと言えば全くの嘘になるし……ふうむ。

(少し考えて)
……まあ、強いて言うなら同僚か。雇い主が同じだったのでね。
理屈屋で頑固で視野が狭い。当時未だ若……今以上に若かった俺と合わないのは、ある種当然の帰結ではあったとも思うね。

(空のカップを指し示し)
っと、お代わりは如何かな?

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