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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常2

 外面ばかり整えている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約が必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男や男に近しい者にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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(生粋の記者、と呼ばれるのは心地よい。機嫌良さそうに猫耳を揺らして、)
召喚されてから……意外だわ。もともとそういう職に就いていたのだと。
それとも、イレギュラーズ歴が相当に長いのかしら?
(芝居がかった仕草にはくすりと微笑む)
情報交換、やはり持つべきものは同業の伝手ね。是非お受けしたいわ。
とはいえ……貴方が欲しい情報、となると何かしら。

……親しみやすさはインタビュアーの才能のひとつだと思っているわ。
(本当に誤魔化しが下手なようだった。フォローの言葉をかけながらも心の中の彼のプロファイルに特記事項として記しておく)
でも、そうね、積極的に口に出すのは私も同感。
言葉をかけなければ、引き出せないもの。

ん……(こちらもコーヒーカップを軽く傾けて。)
名前を伏せる必要がある人に、おいそれと取材はしにくいでしょう? だから残念。
私としては、J。貴方自身にとっても興味があるのだけれど、ね。

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