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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常2

 外面ばかり整えている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約が必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男や男に近しい者にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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そうだな。大衆の求める刺激的な英雄譚や一代記が言葉を備えてそこら中を歩いている。
まったく文字通り夢のような話だ。
……ただ供給が潤沢になる以上、大衆が次に求めるのは質だろう。より珍しく、より新しく、より面白い刺激を……と。そう思うと遣り甲斐と一緒にプレッシャーも一入だ。
(少し苦笑して見せてから珈琲を一口)

い、いいや? 気を悪くなんかしたりはしないさ。
もちろん動揺もしていない。していないとも。
(平然とした(つもりなんだろうなあ目思いっきり泳いでるけど。な)態度で)
寧ろ君の様なレディを育んだ父君と比較されたなら、それは寧ろ光栄の至りだ。
一応未だ不惑には一歩届かず38なんだが、もう38とも言える。

呼び方は、そうだな。Jでも、ジャンクでも、呼びやすい方で。

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