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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常2

 外面ばかり整えている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約が必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男や男に近しい者にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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耳?(頭の上の三角耳がひょこりと跳ねる)

ふふ、ドレスでも着てくればもっと元気になってくださったかしら。その舌が羽のように軽くなるくらい、ね?
(役者のような仕草と台詞回しに、ぱちりと片目を瞑って応えて、)
お蔭さまで、ね。それとローレット様様だわ。動き回る口実が出来たもの。

(こつこつ、と更に部屋に足を踏み入れれば、室内はコーヒーと煙草の匂いに満ちているようで。)
……ところで、お茶の時間だったのかしら?
(手の中の包みを男に差し出せば、バターとミルクの薫りがふわりとそれらに加わる。)
今同行してるキャラバンの商品……クッキーだけれど、良かったらいかがかしら。甘いものはお嫌い?

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