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遥か夏のカプリチオ

【入団報告】僕は僧侶になれない

「中立じゃあ、僧侶にはなれないなぁ」

 陸は、修練場の教官のそんな台詞をなんの感慨もなく聴いていた。
 まぁ嘘だ。本当は、ちょっとだけ残念に思う気分もあった。
 回復魔法が使えれば探索の安全度は桁違いだ。「多少の無茶」を「まだ安全に」出来るのは、迷宮に潜る者にとって無視できないアドバンテージだ。
 それに、そんな回復魔法の使い手である僧侶は、冒険者をしていてくいっぱぐれることはないと聞いていた。
 堅実な冒険者をやろうと思うなら、僧侶に鳴るのが正解だと、陸は思っていたのだ。

「まぁ、なれないものは仕方ないか」

 生まれついての性格(アライメント)はどうすることもできない。冒険のさなかの行動で別の性格に転んでしまうこともあるとは言うが、今変えられないのでは仕方がない。

「それでは、ボクがなれる職業って何かな?」

 それよりも、建設的に話を進めようと陸は教官に質問する。

「お前の能力値なら戦士か斥候か、それかディーラーだな」
「ディーラー」

 おおよそ冒険者には思えない職業だ。多様性の時代とは聞いていたけれど、ちょっと多様すぎるのではないだろうか。

「ディーラーは何が出来るの?」
「賭け事に強いな」
「なるほど」

 なるほど、ではない。賭け事に強いからと言ってなんだというのだろう。探索中に、賭けをするようなことがあるというのだろうか。

 戦士も斥候も、どちらも迷宮探索パーティには欠かせない職業だ。なり手は多いが、それでも手が足りていないという。
 戦士か斥候になれば、少なくともこの先の仕事で困ることはないだろう。

「じゃあ、ディーラーになります」
「わかった。ではお前は今からディーラーだ」

 だから、陸はディーラーになってみた。理由なんてあってないようなものだ。
 ただ、

「どうせ、僧侶にはなれないしね」

 堅実な冒険者になれないなら、賭けに身を任せてみるのもいいと思ったのだ。









というわけで今回の入団者。
『ふつうの青年』十叶 陸さんでーす。

中立の盗賊とか善のパーティにも悪のパーティにも入れるから便利なんですよね。
中立だとあんまり上位職になれなかったりするのでパーティに一人二人居れば十分ってなるんだけど。
まぁ全員を上位職に転職させることもあんまないから気にしなくても良いんだけどね。
何の話かわからない人は方眼用紙に地図でも書いててください。

そんな感じです。
では以後よろしく。

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言葉が通じない、相手というのは、何処の世界にもいるもの、だな。
エクスマリア=カリブルヌス。どちらかと言えば、通じる方、だ。

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