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遥か夏のカプリチオ

【入団報告】ゆうしゃ

「おぉゆうしゃよ、死んでしまうとは情けない!」
「僕、勇者ではないし死んでも居ないんだけどね」

 教会、ではない。
 屋敷の一室にそれっぽい装飾を施しただけの部屋だ。

「いやね、君の名前が伝説に伝わる勇者の名前っぽかったものだから」

 なんてことを宣うのは、場所に合わせたのか聖職者のような、学者のような衣装を身にまとう鉄騎種だ。え、普段着なんですか?マジで?
 これの名を、フニクリという。

「聴いたこと無い伝説だなぁ」

 フニクリの言葉にそう言って返しながら頬をかきながら苦笑を浮かべるのは、顔のいい男だった。恋愛ゲームとかで2,3番目くらいに攻略されることを想定して設定されてるような感じの顔の男だ。わからない人は結構。
 その男は、ロトと言った。

「まぁね、私も人づてに聞いただけだから。勇者にはこう言って挨拶するものだって」
「挨拶にしては礼を欠きすぎてる気がするなぁ。情けないって」
「勇者のくせに死んじゃうような人にはそのくらいで丁度いいっていうことかな?」
「僕に聞かれても……死んだ人相手に辛辣すぎると思うし」
「なるほどね、貴重な意見をありがとう」

 そう言いながらフニクリは何かを紙片に書き留める。その姿は衣装のとおりに学者らしいとも言えたが、書き留めている内容は悪ふざけにすぎない。

「それはいいんだけど……」
「ふむ。何か懸念が?」
「懸念というか……僕がここに呼ばれた理由をまだ聴いてないんだけど」

 ロトという男は、今日フニクリに呼び出されてこの場に赴いたのである。部屋に踏み入った途端に、先程のようなセリフを投げかけられ、未だに自体を把握しかねていた。

「あ、そこ気にしちゃう?」
「そこ以外を気にしても仕方がないと思ったからね」

 正論である。フニクリのやることなすこといちいち気を配っていたら日が暮れてしまう。
 なので正解はそもそも呼び出しに応じないことだったのだが、それをするにはロトはいささか人が良すぎた。あるいは勇者なのかもしれない。混沌世界とは違う世界の英雄譚の、名前が同じ者のように。

「うーん、そうだねぇ。ちょっと言いにくいんだけど……」
「けど?」
「うん、さっきのセリフ言いたかっただけなんだよね、君の名前見て」
「……なるほど」
「疑問は解けたかい?」
「えぇ……ちょっといいですか?」
「なにかな?」
「もう帰っても?」
「あっ、うん。いいよ」

 やっぱり呼び出しに応じないのが正解なのだ。









というわけ今回の入団者。
『特異運命座標』ロト
さんでーす。

かき終わってから思ったけどあのセリフ言うの教会じゃなくて王様じゃんね?
めんどくさいんで書き直さなかったんですけど
苦情は専門の窓口までお願いしますね。
そんなもん無いけど

ま、そんな感じで
では、以後よろしく

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