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遥か夏のカプリチオ

【入団報告】そば

「百二十八」

 カウントする声のあと、器に少量の蕎麦と汁が注がれる音と、それを一息に啜る音が続く。
 その間およそ5秒にも満たない。

「百二十九」

 間髪をいれずにカウントがなされる。器に蕎麦が注がれ、それもすぐに口の中に消える。

「百三十」

 カウントをする声はどこまでも無機質だった。

 わんこそば、という儀式がある。
 この世界ではない、地球と呼ばれる異世界。その中の一国のとある地方に伝わる、とても神性な儀式だ。

 神官役が、小分けにした蕎麦を器に注ぎ、それを儀式の挑戦者が食す。注がれた分を食べたら直ぐに次の蕎麦が注がれ、それをまた食べる。

 これを繰り返すことにより、胃袋へ徐々に負荷をかけトランス状態へと至り、ついには神との邂逅を果たすのだという。何の神かは知らない。多分蕎麦の神とかそんなん。

 此度の挑戦者はわんこ。あだ名とかでなく、実際にそのような名前なのだそうだ。まさに、この儀式に挑むために生まれてきたような名前ではないか。

 神官役であるフニクリも何時になく真剣な面持ちである。きょうこのわんこが来たのはなにかの奇跡だ。今日こそこの儀式で神を見ることができるかもしれない。そう思えば自ずと蕎麦を注ぐ手にも力が入ろうというものであった。

「百三十一」

 次の蕎麦を注ごうとしたとき、おもむろにわんこは箸を止め、器をテーブルの上においた。
 どういうつもりか。疑問の表情を浮かべたフニクリがわんこの顔を覗き込むと、彼女は至極真面目な顔でこういった。

「こういうこっちゃねぇんデスヨ」









というわけで今回の入団者
『シャウト&クラッシュ』わんこ
さんです。

わーい、シンプルな名前。マジで本名なのこれ?
へぇ、そう。多様性の時代なんだね。

なんかアンドロイドなんですって。
書きながらアンドロイドって蕎麦食うんかな?って思ってたけど22世紀のロボットがどら焼き食べるならまぁ食べられるでしょ。


そんな感じです。
では以後よろしく。

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