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ギルドスレッド

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遥か夏のカプリチオ

【入団報告】ほしければ勝ち取れ

「それじゃあ今から皆さんには殺し合いをしてもらいます」

 一室に集められた数人の人物を前に、フニクリ=フニクラはそんなことを宣った。

「おい、あんた何を言って……」
「おっと、発言は許可していないよ」

 フニクリが指を鳴らす。途端、声を荒げた男、ネックチョーク柴田は言葉を止め、首を掻きむしりながら床へと倒れ込んだ。
 しばらくもがきながら、陸に上がった魚のように口を開閉させていたものの、やがて動かなくなる。

 男は、死んだ。どうやってそうしたのかはわからないが、その結果だけは確かだった。

「悪いね、話の邪魔をされるのは苦手なんだ。と言っても、あんまり言うこともないんだけどね。さっき言った通り、皆には殺し合いをしてもらうよ。生き残った一人が、我がギルドの栄えある新メンバーだ」

 勝手な。実に勝手な言い分だ。
 ギルドの門を叩いたのは確かだが、殺し合いをさせられると知っていたならそんな事はしなかっただろう。
 だが、面と向かって文句が言えるはずもない。そうしてものが一人、ただのモノとなり、今は床に転がっているのだから。

「と言ったところなんだけど、なにか質問はあるかな?」

 黙り込む者たちを表情の見えない瞳で睥睨しながら、フニクリは問いかける。
 発言の許可、なのだろう。だからといって気軽に声を出せるわけもない。
 一体何がこの人物の機嫌を損ねるかわからないのだから。

 沈黙が続く。時間にして数秒の、体感では永遠に続くかのようなそれは、一人の勇者によって破られた。

「……じゃあ、一つ良いかな」
「あぁ、何でも聴いてくれていいよ。答えられるとは限らないけどね」

 声を上げたのは黒髪の少年だった。名をカインという。この地にあるという未探索ダンジョン、火山迷宮の噂を聞きつけてやってきた冒険者である。

「なんで、こんなことを……?」

 それは当然の疑問だった。理由を聞いたところで納得できるとは思えない。だが、理由を知らないままに殺し合いをさせられるのは、もっと納得ができなかった。

「ふむ、それくらいなら答えてあげよう。それはね……」

 思わず息を呑む。一体、どのような意思のもとにこんな悍ましいイベントを発生させたのか。

「一度にたくさん人が来ちゃったから、人減らせば入団報告手間が減るかなって……」
「ふざけんなよお前」

 思ってた以上に納得できない理由だった。
 思わずカインが口にしてしまうのも無理はない。だが、それはあまりに迂闊だった。

「おい、馬鹿!!」
「ッ……しまった……!」

 フニクリが目の色を変えたことに気付いた一人、錬がとっさに声を上げる。カインも口を押さえるが、もう遅い。

「おやおや、イケないねぇ。主催者への罵倒はペナルティだよ」

 相も変わらず感情の見えない表情でそう言うと、フニクリは指を鳴らした。

「ぎゃああああああ!!!」

 上がった悲鳴はカインのもの……ではなかった。

「……えっ?」

 突然に体が炎上し、のたうち回っているのは、カインではなく、今まで黙りこくっていたバーンナウト中島だ。

「な、なんで……?」

 人が燃え上がるという凄惨な光景。それもあるが、なぜフニクリを非難したカインでなく、よそ見をしていた中島が燃やされたのか。
 それに疑問の声を上げたのは、

「あれぇーおっかしいなぁ。なんでこっちが燃えたの?」
「あんたがわかんなかったら誰もわかんねぇよ!?」

 フニクリが握り込んでいたボタンのような装置を振ったり透かしたりしながら首を傾げていた。
 仕組みはさっぱりわからないが、あのボタンで人の生死を操作しているらしい。

「や、違うんだって。急いで作ったやつをぶっつけ本番で使ってるからさぁ、どうしても誤作動がさー」
「そんなもんをぶっつけで使うな!?」

 ものづくりに一家言ある錬が声を荒げた。ものづくりに対する適当な姿勢に対する怒りもそうだし、そんな適当な装置に命を握られているという怒りもある。怒っていいと思う。

「うーん、ここをこうして?」

 カチカチカチカチ。

「お、おい。あんまりいじらないほうが」

(ぐがぁああああああ!!!)

「なんか壁の向こうから悲鳴が!」
「あー。アシスタントのアクシデント小峠さんかな?悪い事しちゃった」
「”悪い事しちゃった”ですますなよ……」

 そうやってしばらく装置をカチカチしていたものの、どうやらそもそも反応すらなくなってきたようだ。

「うーん、まぁいいか」
「いいんだ……」

 どたばたやっていたせいかなんとなく空気が弛緩して、今まで黙っていた者も口を出しやすくなったのか一人の女性、イルリカがまた会話に加わった。

「まあ、壊れちゃったものは仕方ないし」
「えーと、それじゃあこんな事やめない?」
「え、なんで?」
「なんでって……その、殺し合いのための機械?壊れたんでしょ?」
「まぁそうだけど……」

 何を言っているんだろう。という目でフニクラはイルリカを見つめる。その視線に居心地悪いものを感じながらも、この提案が通れば殺し合いなどしなくて済むかもしれない。と目をそらさないようにする。
 他のものの注目も、自然と集まっていくなか、フニクリが口を開く。

「それでも。君たちが殺し合うだけなら別にこの機械いらないし?」

 こいつマジヤベェな。だいたい皆の相違であった。どんだけ殺し合いをさせたいのか。

「待ってよ!その機械がないならそもそも僕たちが殺し合いする理由なんかないよ!」
「えー、お願いしても駄目?」
「駄目に決まってるだろ!」
「なんで行けると思ったの!?」

 皆でフニクリに詰め寄る。とにかくやめさせるように言い募るのだが、のらりくらりと本気なのかそうでもないのかわからない言葉で煙にまこうとする。往生際が悪い。

 言葉の応酬が膠着状態になりつつ中。

「アチョー!!」

 という怪鳥音が唐突に響いた。

「げペッ」

 後なんか汚い悲鳴も。

「えっ」

 そしてカインたちは目を丸くする。どうやって説得するか頭を悩ませていたところ、急にその説得相手が地に伏したのだ。
 そしてフニクリが倒れたことで通った視界の先には、どこから持ってきたのか金属の棒を振り下ろした姿勢の女性、チトセの姿があった。

「フッ、またつまらないものを切ってしまったネ」
「いや、切れてないから」
「思い切り撲殺だろう」
「このタイミングでヤるやつがある?」

 フニクリは床でピクピクしている。

「いやー。元凶が目の前にいるからこうしたほうが速いじゃナイ?」
「そうだけどさぁ」

 倫理とかそう言うものが。

「相手が気にしてないのに、こっちが木にしても仕方なくナイ?」
「だからといってな」

 相手のレベルまで落ちるのはいかがなものか。

「それにお腹空いてきたし」
「空腹に負けるんだね。倫理」

生き物の本能の強さというものか。

「マァ、やっちゃったものは仕方ないシ、さっさと外出てご飯食べようヨ」
「お、それなら食堂行こうか。案内するよ」
「オー、ありがとネ!」

 そう言ってチトセは普通に復活してきたフニクリの後について部屋から出ていった。
 それを見送った3人は。

「なんか、考えるの面倒になっちゃった……」
「同感だ……」
「私も……」

 とりあえず、自分たちもその後に続くのだった。









というわけで今回の入団者。
『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト
『魔剣鍛冶師』天目 錬
『ローゼニアの騎士』イルリカ・アルマ・ローゼニア
『蒼星の踊り手』チトセ・ザ・スターライト
さんたちです。

多いわ!一度に4人は最高記録ですかね。
この入団報告ね、まとめて来ると流石に一人ひとりに書いてられないので、抱き合わせ商法になるシステムなんですけどね。流石に多くなりすぎると逆にまとめたほうがめんどくさくなりますね。

まぁ流石にコレ以上まとめてくるってこともないでしょう。
あったら次はなんか考えます。

という感じ。
では以後よろしく。

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エクスマリア=カリブルヌス、だ。

まあ、命の保証なら、今この場であっても、されていないが、な。

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