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ギルドスレッド

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遥か夏のカプリチオ

【入団報告】皆さんには殺し合いをしてもらいます

 カムイ・シロガネが目覚めて最初に感じたのは床の冷たさであった。

「ここは……?」

 うつ伏せになっていた体を起こし、霞がかったようにぼんやりとする頭で考える。
 確か、旅の途中深い森に入り、日が暮れてきたところで屋敷を見つけて。一晩の宿を借りようと扉を……。

「クソッ!ここはどこだ!?」

 突然、耳を打った怒鳴り声にカムイは思考を切り上げ周囲を見渡す。どうやらこの場には自分以外の人間も居たようだ。
 自分と同じように床に横たえられた姿勢から起き上がる数人の人影。その誰もが不安げに周囲を見渡していた。どうやら、その様子からして、この状況を説明できる人間には期待できそうにないようだ。
 ついで、部屋の様子もようやく認識し始める。狭い部屋だった。部屋の一辺はカムイが10歩も歩かず渡れる程度だろう。窓はなく、照明こそあるが光量はかなり絞られており、少し離れた人の顔すらはっきりと見えない。
 徐々に状況を認識するにつれ、カムイ心情は困惑で占められていく。
 何故私はこんなところに居る……?

「な、なんだよこれ……!」

 意味不明な状況に頭を痛めていたとき、そんな、なにかに驚愕したような声が上がる。
 声の方を見てみれば、一人の男が部屋の壁を凝視している。さして広くもないこの部屋の、天井から吊るされたランタンで薄暗く照らされたその壁には、べったりと、紅い塗料で何かが書かれているようであった。

「なんだ……?」

 カムイの立つ場所からでは薄暗くてよく見えない。数歩を歩いて壁に近づき目を凝らす。他の人間も、同じようにその壁に近づいてきていた。
 記されていたものは文字であった。歪んだ筆跡のそれを目で追う。

『たのしいゲーム』
『殺人鬼を見つけよう』
『出られるのは、生きてる人だけ』

 まず大きくそのような文言が書かれ、その下にはそのゲームとやらの細かいルールが書き連ねられていた。
 カムイはそれに心当たりがあった。所謂『人狼ゲーム』。村人の中に紛れ込んだ人狼を探り当てて処刑できれば勝ち、というゲームだ。

「なんだこれ、どういうことだよ……!」
「閉じ込めておいてゲームさせようってのか!?ふざけるな!!」

 壁面の文字を読み終えた他の者達がざわめき始める。この文字が本当ならば、人狼ゲームをして、勝利したものだけがこの部屋から出られるということだ。そのような理不尽、声を荒げるなという方が無理だろう。

(面倒なことになったな)

 そう思いながらカムイは壁に手を触れる。彼女は触れた道具の記憶を読み取るサイコメトリーのギフトを持っている。壁が道具と言えるかは微妙だが、何かしら読み取れればこの状況を解決する助けになるかもしれない。そういう、軽い気持ちの行動だったが、カムイはすぐにその判断を後悔することになる。

「……ッ!?」
「おい、どうした?」
「い、いや。なんでもない……」

 カムイは思わず壁から手を離し後ずさる。その様子を不審に思ったのか、声をかけられるが、なんとか平静を装い返事をする。しかし、頬を伝う冷や汗を止めることはできなかった。
 文字が書かれた壁から読み取った記憶。

『あとバイの人がいるから気をつけてね』

 今それ聞きたくなかった。そう、カムイは思った。

「とりあえず、自己紹介でもしようか。これからどうするにしても、少しはお互いのことを知っておいたほうが良い」

 カムイがいろいろな感情を持て余していると、一人の男が周囲に呼びかけるように声を上げる。

「僕はボトヴィッド・リンドヴァル。ただの自由にんだよ。まぁ今は閉じ込められて不自由人だけどね」

 そういってその男─ボドヴィッドはあははと笑う。この場にそぐわない冗談であったが、それで気が抜けたのか、場の空気が少しだけ和らぐ。
 その様子にボドヴィッドは満足げに頷くと

「それじゃ、順番に行こうか。君、お願いできる?」

 自分の隣りの人影に声をかける。その人物も特に異論はないのか、一つ頷くと口を開く。

「お、俺はキルゼムオール斧山だ」
「おいこいつから吊るして良いのか」

 カムイは思わず口を挟む。キルゼムオールて。もうこいつが殺人鬼だろ。
 暗闇に目を凝らしてみれば、キルゼムオール斧山と名乗ったこの男、身長2mをこすような大男であった。なぜか上半身は裸であり、顔はホッケーマスクで隠され表情は伺えなかった。いや怖ッ。薄暗いとは言えなんでこんなやつが居るのに今まで気づかなかったんだ。

「まぁまぁ、落ち着きなよ。人を見かけで判断するのは良くない」
「見た目と名前で判断してんだよ」

 とはいえ、たしかにまだキルゼムオール斧山が殺人鬼と決まったわけではない。限りなくクロに近いと思うが、怪しいだけで決定的な証拠はないのだ。

「ありがとうボドヴィッド。これ以上言い詰められていたらこのバトルアックスで黙らせるところだった」
「ははは、君が温厚で良かったよ」

 やっぱそいつ吊るせよ。とは言わなかった。人間すらたやすく両断ししそうなバトルアックスを抱えるやつを責めるのは愚か者だけである。カムイは愚かではなかったし死にたくなかった。
 それとボドヴィッド、そいつは絶対温厚じゃねぇぞ。

 カムイが声にならない叫びを上げているさなかにも、自己紹介は続いていく。

「俺はデスパペット中野だ」
「マッドドクター川島です」
「ギロチンマシン中村と申します」
「インフェルノ島田。よろしくね」
「我は地獄の大悪魔サタン……」

 えぇ……。
 カムイは帰りたかった。まぁさっきから帰れるなら帰りたいとずっと思ってはいるが。とりあえずまともな名前をしているのが最初に名乗ったボドヴィッドしかいない。今も自己紹介は続いているがどいつもこいつも似たような名前ばっかりだ。流行ってんのそれ?あとサタンにはツッコまねぇぞ。絶対に。

 もうみんな死なねぇかな、と遠くを見ながらカムイが考えていると、ふと周囲が静まり返っているのに気がつく。周りを見れば、視線が自分に集まっていることに気がつく。どうやら、自己紹介の順番が自分に回ってきていたようだった。

「あ、あー。カムイ・シロガネだ。しがない鑑定士、みたいなものだ」
「ふーん、変わった名前だね」

 ぶっ殺すぞてめぇ。荒んだ心でカムイはそう思う。こいつらにだけは言われたくなかった。でも口には出さない。その声がしたほうを見てみれば、人を苦しめて殺す系の道具を持ったシルエットが薄暗闇に浮かんでいたから。帰りてぇ。

 自己紹介はカムイで最後だったようで殺人鬼ネーミングどもは各々に喋りだす。そのまま殺し合ってくれねぇかなと思いつつも、手持ち無沙汰になったカムイは、かろうじてまともだと判断できるボドヴィッドに声をかける。

「なぁ、これからどうするよ」
「うーん、やっぱり斧山×島田かな。いやでも斧山×川島も……。え?あぁごめん、なにかな?」

 帰りてぇ。カムイは心底にそう思った。









はい、というわけで今回の入団者。
『白銀の鑑定屋』カムイ・シロガネ さんと
『カラクリヒバリ』ボトヴィッド・リンドヴァル さんでーす。

 ふたりともタイプの違ったイケメンって感じですね。まぁカムイさんは女性なんですが。良いじゃないですか。イケメンな女性。で、なに。旅の鑑定士ですって。漫画の主人公かよ。めっちゃありそうじゃん。旅先で何らかの道具が原因で騒動が起こってそれを鎮める鑑定士の漫画。静かな人気がありそうじゃん。私もそういうの好きです。

で、ボドヴィッドさんね、プロフィールがね、主人公なんですよ。ノベルゲームとかそっち系の。美味しい料理作れるとかね。一時期の主人公の必須装備ですよ。ヒロインがお弁当作ってきてボドヴィッドくんが作ったほうが美味しいし……ってなるやつ。大切にしてください。何を?


まぁそんな感じで。
では以後よろしく。

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カムイさんとボトヴィッドさんは初めまして!
私はインフェルノ島田…じゃなかった、シャルレィス・スクァリオだよ!
よろしくね!

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