ギルド・ローレットから暫く歩いた場所にある仕立屋。
店内の広さはおおよそ15メートル四方ほどだろうか。
内装は派手な色遣いは抑えられ、並べられた衣服と併せて落ち着いた雰囲気を作り出している。

店の奥へ繋がる扉の前に置かれたカウンターから、
店員らしき女性が笑顔で声を掛ける。

「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょうか？」

翼の生えた方は飛行種の方か……そうでなければ旅人の方でしょうね。
彼らは海洋の方に多いので、そちらに出向くことがあれば彼ら向けの品々もより多く見られるのではないでしょうか。
ともあれ、ありがとうございます。
ご入用の際は是非ともご検討くださいませ。

ああ、これは失礼しました。
私はこの世界の者……いわゆる純種ですね。
（右手の手袋を外して機械の部位を見せてみせ）
ご覧の通り、鉄騎種と呼ばれる種族の者です。と言っても、旅人の方にも機械の……それも私たち鉄騎種よりも余程機械らしい方がいらっしゃるようなので、些か区別がつけづらいかもしれませんが。