ギルド・ローレットから暫く歩いた場所にある仕立屋。
店内の広さはおおよそ15メートル四方ほどだろうか。
内装は派手な色遣いは抑えられ、並べられた衣服と併せて落ち着いた雰囲気を作り出している。

店の奥へ繋がる扉の前に置かれたカウンターから、
店員らしき女性が笑顔で声を掛ける。

「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょうか？」

＞クレイス
なるほど上級者向け……確かにそういう向きもあるかもしれませんね。
ただ、この世界、本当に色んな姿・形をした方がおられます。
そのような方々全てに、一般的な市販の服で対応するのは難しいでしょう。
オシャレという観点だけではなく、実用的にもそれぞれが合う服を着られるというのが望ましいと思いますね。
特に、合わない服を無理矢理に着るというのは、着ている本人だけでなく、着られる服側にとっても幸せとは言い難いでしょう。

（軽く咳払いをして）……少し話が飛んでしまいましたね。
お値段に関してはそうですね……生地の種類などにも依りますので、一概に高級品になる、というわけでもございませんよ。
それでも汎用品に比べると少しは高くはなりますが……完全なツケ払いはともかく、何度かに分けてお支払頂くとかでも構いませんよ。私もイレギュラーズの身ですので、まあ、仕事の大変さはそれなりに承知しておりますので。