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潮騒の従者斡旋所

酒に対ては当に歌うべし

標本のように、棚に並ぶ瓶を見ていた。

似た色で固まる瓶もあれば、漬けられた果実の色を思わせる瓶もあり。

中でも店主が手に取ったそれは、光の色を蜜へと変えて、琥珀を思わせる美しさだったのを覚えている。

中に、なにかを閉じ込めているのが本当に琥珀のようだと。

飲む前に言う冗談ではないと、あの時の私は笑ったと思う。


……お酒の瓶を机に追いた従者は、唐突にそんな昔のことを思い出したのでした。

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(では、と扉を引いて従者が室外へと手を翳せば、それが最後)

きゃっ。

(外見に似つかわしく、普段の姿には似つかわしくない悲鳴がひとつ)
(窓からとびかかってきた黒い影が、従者の顔へと飛びついて)

……館でもこうなのですから、夜道は殊更に危険です。
お送りしましょう、姫さま。

(呆然とする主人を後に、それを顔に貼り付けたまま、従者は外へと歩いていくのでした)

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