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潮騒の従者斡旋所

酒に対ては当に歌うべし

標本のように、棚に並ぶ瓶を見ていた。

似た色で固まる瓶もあれば、漬けられた果実の色を思わせる瓶もあり。

中でも店主が手に取ったそれは、光の色を蜜へと変えて、琥珀を思わせる美しさだったのを覚えている。

中に、なにかを閉じ込めているのが本当に琥珀のようだと。

飲む前に言う冗談ではないと、あの時の私は笑ったと思う。


……お酒の瓶を机に追いた従者は、唐突にそんな昔のことを思い出したのでした。

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ええ。その良質な素材やかけられた手間を思えば、宝石の溶けた水というのはまさにその通りの表現で。
料理人と同じように、お酒にもまた造り手がいらっしゃいますからね。
我々はその試行錯誤の、努力の結晶を頂くわけです。

(自分のグラスにも注ぐと、静かに瓶を置いて)
ふふ。紅茶の匂いを期待したところ、つうん、とするのはアルコール特有の匂いですね。
こう、グラスを少々揺すって液体を回してみるとですね……お酒が空気に触れて、また匂いが変わるのだとか。
何故そうなるのかは詳しくありませんが、不思議なものでして。
(グラスの脚を握った手を多少左右に揺らして見せて)

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