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遣らずの雨

湖上のよすが

町はずれに、小さな湖がある。
曇天の下で、鈍色に揺れる湖面は
雨のやまない空からこぼれ落ちる雫が溜まって作られたかのようで。
いつしかそこは、一部の人々から「大水たまり」だなんて呼ばれていた。

土砂降りの日には、湖面から首の長い怪物が顔を出すそうな。
はたまた青い空から雨が降るときは、精霊の御使い様が降臨なさるそうな。
大水たまりには、根や葉の有無もわからない噂が、たくさん付き纏う。

その中の不思議のひとつ。
いつ生まれたとも知れない、その大水たまりの中ほどに
やはり誰がいつ作ったとも知れない、小さな二階建てのコテージがぽつんと建っていた。
奇妙なことに、コテージへ続く橋も、渡し船もない。

あるいは、あなたは町でこんな噂を耳にするだろうか。
小雨が何日も続き、大水たまりの水位が下がった日にだけ
あのコテージに渡るための橋が、湖面の下から現れるらしい、と。
そして、もうひとつ。
あのコテージへ渡るならば、何かひとつ、あなたの「好きなもの」を手土産に残してゆくといい——と。

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【RPスレッド】
【湖上のコテージにて】
【最大3〜4人まで】


《コテージ一階》
いくつかのベッドやテーブル
簡素な調度品の設えられた生活スペース。

《コテージ二階》
広々とした、見晴らしの良い物見台。
一角に、大きな望遠鏡が置かれている。

《ベランダ》
いくつかの椅子とテーブル。
もっとも、雨がやむ気配はない。

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おじいさんはいっぱい君とお話していたようだね、なんだか羨ましいな。

いつか……そうだね、シナモンがケーキを美味しくするように、苦い思い出もいつか甘いものと混ざっていく頃には幸せだと分かると思うよ
そうなっていける生き方であってほしいな。
そういえば初めてのココアはどんな味だった? 美味しかった?

この雨降りも厄介なもんだぜ。
夜を迎えることもままならないし、君の言う通り橋がなくなったらいつ帰れるか分からない。
(足を揺らして望遠鏡を覗き続ける少女を抱えながら、視線を橋の方へと向けていく)

どういたしまして、こういう時はお互い様だよ。
それにお姫様を抱きかかえるのは騎士見習いとして悪くないしね。

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