花畑広がる原っぱに、鬱蒼と茂る森の奥に、街の路地裏に、海辺の洞窟の中に、その店は在る。縁があるなら、必要だと思った時にあなたはここに来る事ができるはずだ。

外観は二階建ての大きなレンガハウス。店の機能を持っている一階には商品陳列棚、カウンター、後は数人が談笑できる程度のテーブルと椅子が何セットか置いてある。

カウンターに置いてある椅子に座っているソレは笑って言った。

「いらっしゃい、何処でもないドコかへ。誰でもおいで。何か買いたければカウンターへ向かうといい。急ぎじゃないコは万色の“世間話”をしようじゃないか。ヒヒヒヒヒ……」

そんなもんとは無縁だ、無縁。
なにしろ俺様悪霊だからな。
偶然か、ガキの気配に釣られてガキが集まってきてるってとこだろう。

おー、また奇妙な……。
ギフト、とはまた違うのか？
(湧き立つ影を興味深そうに見る)

代償の肩代わりとは、また粋なことするじゃねェか。
生きてて良かったなァ？いや、悪かったのか？
オマエさん見たところ死にたがりだろ。

「命を大事に」ってのは常識的で御立派な考えではあるがな。
実際、テメェの命をどう使うかは各々の自由だと俺は思うぜ？
常識なんてもんに縛られて
為すべきことを為せねェまま長らえる方が、よっぽど不幸ってもんだ。
死んでも死にきれず俺らの同類になるってんなら
俺様にとっちゃそれも愉快だしな。(クックック