PandoraPartyProject

ギルドスレッド

商人ギルド・サヨナキドリ

応接室・一室

いくつもある様に見える部屋の一室。招いた客人の趣向に合わせていくつか楽器が棚に陳列されている。部屋では白髪の獣種らしき男が上等な紅茶を入れて件の菓子の用意をしていた。

その傍ではこのギルドの主が行李から楽器を取り出しては眺め、少ししてからふわふわと宙へ浮かべて近くの棚へ陳列させることを繰り返している。

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ん……?(自身の、自信が隠した右目への視線に首を少し傾げ)
その目が観た景色をちょうだい。(右眼を白く細い指がさして)
この目が…見た、けし、き…?(掌で右目を押さえ)
そう、別に視力が欲しいわけでは無いよ。その目が見てきた景色を我(アタシ)も視るだけ。(くすくす…)
…それは…どうやって…見るんだ……?(少しホッとして手を離し)
もう少しズレがあるならその目ごと貰って行っただろうが…言ったろ、キミたちは縁が合ったんだからさほど大きな対価は要求しないとね。ちょいと眼を見せてくれればそれで事足りるよ。
目を…見せるだけ、で…?(普段隠しているその目を人に見られるのは少し恐いのか、見える瞳に不安が灯る)
そう、そう。痛いことなどしないよ。(男とも女ともつかぬ声を甘やかに紡いで、ソレはゆっくり手招きする)
(過去の事…今までの事…良い事も悪い事も全て両目で見て、片目に封じてきた。その奥底まで覗かれそうで、怖気そうに。しかし、恐いと思いながらも…その甘やかな響きに一歩、一歩と歩を進め。武器商人の前まで来ると、普段人には絶対見せない…紅い、ルビーを思わせるように紅い瞳を髪の毛の隙間から覗かせ。)
ーーああ。(まるで少女の様に、ソレは笑って目の前に来た男を見上げる。前髪の隙間から深い紫色の瞳が覗いた)

綺麗な、紅い瞳だねぇ。(そう言って白く細い手を伸ばして男の前髪をそっと横に払おうと)
(紫色のその瞳は、深く、昏く、深淵まで覗けてしまいそうな瞳で。ゾクリと背筋を震えが走る。)

俺には…忌々しく…嫌いな瞳だ…。(現れた瞳は、猛禽類を思わせるような鋭さの中に、憂いが見え隠れしている。縁どる白く長めの睫毛がフルリと震え。)
我(アタシ)は好きだよ、その瞳。我(アタシ)にとってアカはこの世で最も優しい色だから。

(無邪気で甘い愛情を、滴る毒の様に濃く煮詰めて声に乗せる。自身の髪も横に払うと存外と鋭い両目が露わになった。そうして、男の紅い瞳を奥まで覗き込む様に見つめる)
今迄、そんなこと言う人…見たことが、無い…。(自身の瞳を否定するかのように、紅い瞳は不安、恐れに揺れ。吸い込まれそうな紫の双眸から逃げを打つように視線を逸らそうと。)
こっちを見てちょうだい。
(甘い声を男の耳に届けながら、秘め事の様にそっと声を抑えてくすくす笑う)

当たり前のことすぎて、みんな忘れちゃっているんだねぇ。太陽のアカはこの世界を今日も照らしているし、血のアカはこの瞬間もキミたちを生かしているのに。

我(アタシ)は好きだよ、その瞳。アカはこの世で最も優しい色。それに、シロはこの世で最も美しい色。
(刷り込みのように、ソレはもう一度繰り返す)
っ……(余り人の目をずっと見るのが苦手で。そろりと視線を元へと戻し。)

俺の目は…俺は…っ、そんな言葉を掛けられていい人なんかでは…!(首を横に振り。耳の奥で響くのは幼い頃に浴びせられた継母の罵声で。優しい言葉は唯々毒で、苦しい。)
えー?いいじゃない。“我(アタシ)が”キミを愛しているんだもの。キミを含めて、他の誰が何を言おうと我(アタシ)には関係のないことさ。ねえ、ニンゲン。可愛くて、愛しくて、優しくて、美しいニンゲン。悪しきモノだと嫌ってもいいよ。醜きモノと石を投げてもいいよ。要らぬモノと突き放してもいいよ。それでも我(アタシ)にキミを、愛させてちょうだい。

(玲瓏な唄の様だった。タチの悪い呪いの様だった。小さな祈りの様だった。滔々と言葉を紡ぐソレはとろりと笑って男の瞳を見つめている)
俺はっ…存在してはいけなかった…!!義母(母)に醜いと罵られ、ダメな奴のレッテルを貼られた…!!実母(母様)が亡くなって、父は俺を見なくなった…人に蔑まれるようになった…!!兄と姉には声が届かなかった…!!!そんな、そんな俺がっ…!そんな声をっ…貰うなんて……あっていいのか……!!!(取り乱した様に首を振り。苦しい、息が出来ないとでも言うように藻掻く。紅い瞳には涙の膜で揺らいでいた。)
あっていいよぉ?だってキミを愛していると言ったのは、キミを罵った義母ではなく、キミを見なくなった父ではなく、声を聞かなかった兄姉ではなく、この我(アタシ)だもの。我(アタシ)に愛される為に存在するのじゃ、だめ?(くすくすくす…とソレは穏やかに笑っている)
……俺は…人に、認められても…良いの、か……?何もかもを否定された俺がっ…。(目の前で穏やかに笑うその人を紅い瞳で捉えて、昏い瞳で見据え。)
この世のあらゆるニンゲンがキミを否定したとして、それでも我(アタシ)だけは“キミ”を愛するというカタチで認めるだろう。我(アタシ)はそういうモノだもの。“それをキミが望むなら”。

(深い紫の瞳はどこまでも静かで、魂すらも見透かすようだった)
俺が……それを…望んでも…?俺が、それを欲しても…?(紅い瞳から溢れそうな透明な雫は、唯静かに頬を伝った。)
いいよぉ。

(ゆったり両手を広げて小首を傾げて)

……おいで?
(その言葉はとてつもなく甘く、甘く…染み入るような錯覚で。手を広げるその人へ、ゆっくり近づき、手を伸ばそうと。)
(無防備に、ソレは両手を広げたままでいる。今ならソレに対してどんな行動でも取れるだろう)
(伸ばした手をそのまま、目の前にいるその人へ恐る恐ると回し。)
いいコ、いいコ。(にこぉ、と笑ってゆっくり抱きしめようと)
(醜いと詰られて育った夜鷹は、鷹の名を冠した小鳥だった。紅い瞳を閉じ、まつ毛を震わせながら抱き締められ、小さく啜り泣くように嗚咽を零して泣いた。)
(ソレは決して拒みはしないだろう。更に言えば、たとえ男が白と紅の色を持ち合わせていなかったとしても同じ行動をしただろう。この世界がソレに下した罪状が、その事を裏付けている)

(ソレは男がかつて見た風景を己の瞳に映しながら、泣いている男の頭を静かに撫でていた。いつまでも、いつまでも、男の気が済むまでそうしていることだろう)
っ…すま…ない……みっともないところを…見せて…。(一頻り泣いて落ち着いたのか、涙を拭き。)
大したことではないさ、可愛い小鳥。泣ける内は泣いておいた方がいい。(くすくすとソレは笑って頭を撫でる)
んん…あまり、人前では泣かないと…決めていたのだが……。(こうも呆気なく崩壊する日が来るとは…と呟き)
ヒヒ、そいつは残念だったねえ。(紅い瞳の横、眦からこめかみにかけてスルリと自分の頬を寄せて頬ずりしようとしながら)
んんんっ……。(頭撫でられるのは心地いいが、頬ずりされてるのはどういう状態なんだと我に返る。)
(それで、終わり。あっさりと手と体を離した)
ん…その……何やら…色々と迷惑掛けた…。(手を離され、少しホッとした、けれど何か寂しさの募るような気分に不思議な感覚を覚えながら自分も身を離し。)
いいや?迷惑とは思っていないさ。求められるというのは我(アタシ)にとって悪い感覚じゃあない。(その感覚を見透かす様にくすくすと笑って)
んん…ありがとう…。(やはり色々読まれてるな…と降参気味に頬を掻き。)
ヒヒヒ……可愛いねぇ、アストラルノヴァの旦那は。つい眷属にしたくなっちゃう。(くすくす)
男に…その言葉は…どうかと思う…。(最後の言葉は聞き間違えか…?と聞き返し。)
そぉ?だって、可愛いんだもの。(ソレは無邪気に首を傾げ)

ンー?ああ、眷属?まァこれに関しては勝手に出来るものでも無し、半ば冗談だがね。(くすくす)
んん…。(この人には口では敵わないな…と頭を掻いて。)

なんだ…冗談か…。(ドキッとした、と口にし。)
キミがいいと言えばすぐにでも出来るけどね。(ま、決してオススメはしないが。と声をやや低くして)
んんん…いや…結構…です…。(低くなった声にこれはいけない、と察知して。)

ん……ヴィオラは…あの報酬だけで…本当に大丈夫だったのか…?(顕にしていた紅い瞳を再度隠しながら、武器商人が得することはなにも無いのでは?と、もう一度確認するように聞き。)
ーーそう、そう。その方が、きっといい。(いつもとは別種の……どこか“諦観”に近い笑みを浮かべて頷いた)

構わないとも。得るものはあったからね。(くすくす、とまた愉しそうに笑って)
(その頷きに、この返事でよかったよな。と思いつつ、ホッとした表情を見せ。)

そう…か…?んん…武器商人がそれで良いなら……良いのだが…。(少し首を傾げながら、チラリとヴィオラをを見遣り、ソロ…と細長い指先で撫で。)
もちろん、それでいいのさ。可愛がってやっておくれ。(その様子を笑って見ている)
ん…アップルパイまで…頂いて…本当…感謝でしか…ない…。(大事そうにヴィオラを持ち)

んん…あー…その…また来ても…?
いいよぉ?いつでも遊びにおいで?
ん…ありがとう…。では、長い時間…失礼した…また…。(深く礼をしてから顔を上げ、入口へと向かい、入口で再度礼をすると退室し。)
……またねぇ。(ひらりと手を振ってそれを見送る)

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