花畑広がる原っぱに、鬱蒼と茂る森の奥に、街の路地裏に、海辺の洞窟の中に、その店は在る。縁があるなら、必要だと思った時にあなたはここに来る事ができるはずだ。

外観は二階建てのログハウス。店の機能を持っている一階には商品陳列棚、カウンター、後は数人が談笑できる程度のテーブルと椅子がある。

カウンターに置いてある椅子に座っているソレは笑って言った。

「いらっしゃい、何処でもないドコかへ。誰でもおいで。何か買いたければカウンターへ向かうといい。急ぎじゃないコは万色の“世間話”をしようじゃないか。ヒヒヒヒヒ……」

（すいと迷いもなく近づいて、まるでわたあめでも抱くようにふんわり優しく両手を回して）………はあ。やはり美しいな。月下に揺れる水面のように神秘的で、一歩踏み込めば飲みこまれそうなほど深く冷たい夜の銀色だ。あー…俺の麗しの姫君を思い出す。３度日が昇ろうと褒め続け愛で続けられるなあ。＞商人