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惑いの花酒亭

【酒場/常花】

「ねぇ、花を見に行かない?」

黒豹からそんな誘いがあった。
なんでも街はずれに薄紅の花を咲かせる見事な大樹があるらしい。
きちんと片付けさえすれば酒盛りをしていいと地主に話をつけてきたのだと婀娜に女は笑った。
どういう手管を使ったのかは、まぁお察しだろうが。

「マスターは来られないけど軽食と飲み物は提供してくれるそうよ。あとは各々好きなものを持ち寄ってオハナミなんてどうかしら」

異世界の行事を真似てみたいの、と。
薄紅の花弁を零すその木は『桜』という花らしい。

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お、いいね。香草焼きは私好きだよ。
辛子抜きなのは残念だが、まぁそこは好き嫌いある部分だものな。
(いただきます、とジルに応えて早速一口頬張れば
 うん、美味しいと満足げな声が続いた)

それなら今年のバカンスはジルも一緒にだな。
うん、瓶いっぱい拾えるといいな。全員でかかれば大丈夫だろう。たぶん。

――ああ、音が大きい花火はな。
犬や馬達が驚くから駄目だって言われて、音については大人しいやつばっかりだったよ。
耳のいい人だとやっぱり気になるものなんだな。
(もくもくとサンドイッチを頬張りなばら煙草を楽しむ成人達を眺める)

こうして聞いてると、一番安全に吸ってるのは亘理の世界かな。
危ない遊びのやつは吸っていなさそうだ。
何かと物が必要な水たばこはまだ贅沢な方なんだろうか。

うわ、言われそう。爺様はともかく婆様ちゃっかりしてるから。
偶にの帰省で折角だからって思わず、程々のやつにしておくよ。

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