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惑いの花酒亭

【酒場/常花】

「ねぇ、花を見に行かない?」

黒豹からそんな誘いがあった。
なんでも街はずれに薄紅の花を咲かせる見事な大樹があるらしい。
きちんと片付けさえすれば酒盛りをしていいと地主に話をつけてきたのだと婀娜に女は笑った。
どういう手管を使ったのかは、まぁお察しだろうが。

「マスターは来られないけど軽食と飲み物は提供してくれるそうよ。あとは各々好きなものを持ち寄ってオハナミなんてどうかしら」

異世界の行事を真似てみたいの、と。
薄紅の花弁を零すその木は『桜』という花らしい。

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あー……毎年、花酒亭のマスターが海洋でバカンス過ごせるようにって
プライベートビーチを手配してくれるんだよ。
実際場所はかなり良い所……なんだよな?景観すごくいいしな?
(段々と語尾に自信がなくなっていくのだった。
 気を取り直そうと茶を一杯。リノも飲むか、と頭を抱える彼女へも一杯差し出す)

シーグラスや貝殻なんかは綺麗なの落ちてたよな。
他にも色々落ちてたりやって来たりするけど。いろいろ。

花火は手に持って遊べるやつあるよな?
練達で作ってるやつだったかもしれないが、うちでは時々夜に遊んでたな。
(ジルのサンドイッチへ手を伸ばしながら、水たばこの方へ視線を向ける)

ジルや亘理の世界のたばこってどんなヤツだったんだ?
ちょっと変わったのが手に入るなら、今度地元に帰るときの土産に一つ買ってみようかな。

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