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壺中天

中華街の片隅で

あらゆる人種と文化が雑然と入り混じったとある中華街の片隅にその露天はあった。
店頭に置かれたカライアピーからは蒸気がもうもうと吹き出し、炊かれた香の匂いと店主がしきりに吹かす紫煙が混じり合い、奇妙な甘ったるい匂いを発している。
ゴザに雑多に並べられた商品の大半はは用途は窺い知れないが、どうみてもガラクタのように思える。
貴方の視線を感じたのか、店主がにやけた笑顔を浮かべながら話しかけてくる。
「旦那、いいモノあるヨー」

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(如何にもこの通りに似合いの黒い襤褸外套がひとり。
 頭巾から突き出した角と獣の耳が、竜の如き尾が、鱗が、
 彼が異世界からの旅人であることを物語っている。)

おう、シーイー。繁盛しとるかえ~?
またいろいろと採ってきたゆえな、なんぞ買わんかなぁと思うてのぅ。

(凶暴な尖った歯列が覗くが、言葉の音はとても柔らかい。
 古びた背負い袋を地面に置き、さまざまながらくたをシーイーの前に並べていく。
 つるつるの石ころ、茶色い金属の髑髏、乾いた薬草の束、奇妙な石板の欠片、)

これとかどうじゃろうか~?これを採ってくるのはちと大変じゃった~……。
(ぼろぼろの本。)

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