誕生日も過ぎちまったし、
シャイネンナハトの予定もカラッポだ。
これで２年連続だぜ……今年こそは何とかする予定だったのにな……　あー、くそっ。フギンムニン許さねぇ…！

はぁ。


※クリスマスイブ前後～年末、位の時系列のイメージ。
※基本は低速(１日～3日)。早いぶんには可。
※27日前後まで誰も来なかったら消滅。

あら？　大きな戦いも終って町はお祭りムードなのに
ここはどうしてこんなに空気がよどんでいるのかしら？

そりゃあだって「今夜は大切な人と過ごす日」みたいな事を言われて……おおうっ！？(来客に気付き、慌てる)そ、そ、そ、そうか？たまには換気とかしねぇとな…(？)

さすがに窓を開けるのは寒くない？
よどんだ気を浄化するなら、この水晶を窓際に置くといいわ。

……いや、まぁ、多分本物だろうしありがたいはありがたいんだけど、その水晶はいくらなんだ…？マジックアイテムを仕入れる余裕はそんなに…

ただの石英の原石だから、ラサ辺りの砂漠にでも行けばいくらでも落ちてるものよ。
プレゼントが仰々しいなら、試供品だと思ってもらえばいいわ。

うん？よく知らねーけど、その「石英」って奴には皆、空気を浄化する能力があるのか？　占い師がよく持ってるイメージだが。

占い師のは特に厳選したものを丁寧にカット・研磨したものが多いわね。
空気というか、気の流れを受け取ったり整えるのに向いていると聞いているわ。
原石はさしずめ空気清浄機みたいなものね。
砂漠の砂の多くがこれが砕けたものらしいわよ。

気の流れってそういう奴なのかな…
まあでも確かに、砂漠は星が綺麗に見えるとかたまに聞くよな。砂漠の夜は寒いらしいとも聞くが……

………。まあ、よどんだ空気は大丈夫として……うん……

今から大掃除するのもなんだし、余り物のブドウジュースと干し芋で乾杯でもする？

随分用意がいいな。
ま、元から大掃除なんかする気もなかったし、悪くねぇ。そうするか。
グラスくらいは出すぜ。

私も左団扇の生活をしているわけやないから、
シャンパンや七面鳥じゃないのは勘弁してね。

気合い入りすぎじゃないか？
俺にとっちゃ十分すぎるご馳走だ。

なぜかエセ関西弁にｗ

どこかの古い言い伝えでは、パンとワインを食べる時に
人々の身代わりになって処刑された大工のことを思いながら口にするらしいわ。
私たちが今ここで生きて食事できるのも、誰かの献身や犠牲のおかげかもしれないわね。
感謝していただきましょう……

なんだそれ。……はあ。犠牲、ね……。
ま、今日ぐらいはそういうのもいいか。

(軽く目をつぶる)

（ぶどうジュースを入れたグラスを自分とサンディさんの前に置き、さらに一つを窓際に置く）

……？……そいつは誰のだ？

砂蠍との戦いで多くの人が犠牲になったわ。
その人たちも今日のパーティーに参加したかったんじゃないかと思ってね。

………あー、なるほどな。そうかそうか。
そーゆーヤツだったか。他にもゲストがいるってことね。悪ぃ、ちょっと待ってくれ。頭を切り換えるぜ。……

まぁ結局あのレディ2人も救えなかったし、最初の人質も2人死んでんだ。追悼ナシって訳にもいかねぇよな。

人が死ぬのは避けようのない定めだけれど、
悲しみに暮れ後悔に沈むより、彼らの代わりに生き残ったものが、
少しでも良い未来のためにできることをするという事が、
犠牲者への慰めになると思うわ。
また来年も頑張りましょう。

……「追悼」なんだろ。こうしてパーティにもわざわざグラスを余計に置いてんだ。思い出して悲しんだっていいだろ、この場くらい。ま、確かに実際はなにかできるわけじゃねーんだが。

それはそれとして。

かんぱい。

ええ。
明日から立ち上がれるなら、今日ぐらいは落ち込んでも泣いてもいいと思うわ。

乾杯。

6人の人質を助けるんだ！見捨てられねぇ！って意気込んで、結局それで4人死んでんだ。笑っちまうよな。(ぶどうジュースを一気に飲む)

それでも貴方は自分にできる最善を尽くしたはずよ。
私は貴方は立派だと思うし、笑うような事は出来ないわ。

問題もそこなんだよな。俺の「最善」なんて所詮その程度ってことだ。

……まあ、いいさ。
今頃はちゃんと天国に着いてんのかな。旅人は魂くらいは元の世界に帰らせてあげたいところだが、流石に無理か。

貴方が助けられなかった人以上に今まで助けてきた人たちもいるわ。
完全な存在なんていない。
不完全な存在がどれだけ真心を込めて願いのために身をつくしたか。
私はそれにこそ価値があるのだと思うわ。
貴方は命を賭けてフギンムニンの包囲からみんなを救った。
それは紛れもない事実よ。ありがとう。

死んだ人が帰って来ないのは、あの世がとてもいい所だからと聞くわ。
もしかすると、私たちより豪勢なパーティーをしてるかもしれないわね。

……「精一杯やった」ってのはな。捨てられた側にとっては何の役にも立たねぇんだよ。
俺自身がスラムの捨て子からスタートしてんだ。痛いほど身に染みてるさ。
そもそも捨て子なんて大体は「仕方なく」だ。……だから。

それがきみのいう不完全な美しさだろうが何だろうが。俺は認めるわけにはいかねぇよ。

……ああ、どーも駄目だな。俺らしくもねぇ。少し黙ってるか…。

貴方は決して手を抜いていたわけではないのでしょう？
貴方はその時にできる最大限の努力をしたのではないの？
少なくとも私は結果だけが全てだとは思わないわ。
そのままでいることで死が確実なら、一縷の希望に賭けて手を離す選択もあると思うわ。
今は無理でもいずれ受け入れられるといいわね。

「最後に必ず勝つ」と来たか…「正義」ってのは恐ろしいもんだぜ。
まぁでも、俺の言う事が分からない方が正しいんだろうな。
タコキャプテンの言う通り、俺も結局は「悪」ってことか。
今どこで何してるのか知らねえが。

せっかくのパーティーをごめんなさいね。
だけど、ひとつだけ分かってほしいのは、
私は貴方を傷つける事が目的でここへ来たのではなかったということ。
今日は帰るわ。

……それくらい分かってる。分かってるさ。分かってる…はずなんだが……どうも、今日は駄目そうだ…。せっかくのお誘い、本当にすまねぇ…。
今度会う時はこうならねぇようにするからさ。ごめんな。