ギルドスレッド
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廃墟
優しい風が黒色の髪を弄ぶ中、しばらく眺めていれば太い枝に腰を落ち着け足を揺らし始めた「何か」が不意にこちらを見上げた。しっかりとかち合った視線が逸らされる事も無く真っ直ぐに。
暗い為にはっきりとした面立ちは認識できないが、夜闇の中その肌の白さだけは妙な存在感を放っていた。
「…そんな所で、何をしている?」
視界を広げてみればそいつが登ってきた木は随分と高さがあるようだが、見た限り翼は無いようだから同じ種族ではない。
わざわざこんな真っ暗な闇の中、あの高さを登ってきてまで何をしたいのか。
純粋な疑問だけが先走り、凪いでいた感覚の名残か物を深く考えないままその疑問を口にした。
――少し、警戒の色を含んだような物言いになってしまっただろうか。
その事に気付いたとしても、既にそれは後の祭り、というもの。
暗い為にはっきりとした面立ちは認識できないが、夜闇の中その肌の白さだけは妙な存在感を放っていた。
「…そんな所で、何をしている?」
視界を広げてみればそいつが登ってきた木は随分と高さがあるようだが、見た限り翼は無いようだから同じ種族ではない。
わざわざこんな真っ暗な闇の中、あの高さを登ってきてまで何をしたいのか。
純粋な疑問だけが先走り、凪いでいた感覚の名残か物を深く考えないままその疑問を口にした。
――少し、警戒の色を含んだような物言いになってしまっただろうか。
その事に気付いたとしても、既にそれは後の祭り、というもの。
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思い立って、廃墟を貫いて立つ樹木の枝に足をかけて、両手で身体を引き上げるように木の上へ。無造作なそれにがさがさと枝葉が顔や手を打つが、痛み慣れしている分、あまり気にはならなかった。
格闘することしばらく。やっと屋根の上の高さに顔を出すことが出来て、小さく一息を吐く。
もとから長い幽閉と暴行で随分弱っていた上、それなりにあったレベルまで1に戻っているこの身体は、結構どんくさい。
太い枝に腰を下ろすと、片足首に嵌ったままの枷が千切れた鎖と擦れて鈍い音を立てた。
「……星。月。……空、広い」
人と会話をしないとすぐに端的どころか単語になりがちな呟きを零して、まだ夏の気配がしっとりと残る生温い夜風に左右異色の瞳を細める。
広くて高い、どこまでも続くような夜空が、とても心地よかった。
・異世界からやって来て、ほんの数日。廃墟の屋根の上の、ある日のこと。
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎