ギルドスレッド
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廃墟
角度的に相手の表情を見ることはできず、自嘲の笑みに気づくこともなく。
見下ろした地面は少しずつ近づいて、それがなんだかとても残念で。迎えに来る、そう言われたのに、次があるのかも少しだけ不安になる。それはただ、わざと期待を持たせて裏切る所業に慣れてしまったからであって、相手に何がある訳でもない。
「次。待ってる」
端的に。
喋りすぎて疲れた喉で返せる言葉なんて、こんなものだ。相手が何をどう考えていたのかすら、気づいていない。だから、込められた意味は単純明快で。
次の約束をしてくれたから、ここでちゃんと待っているから、と。
木にも、登らないでおく、ことにする。あの星空はとても惜しいけれど、できれば違う方法にしろと言われたから、言うことはちゃんと聞く。
相手は自分にとってこの世界で初めて「手を取ったひと」で、「空に連れて行ってくれたひと」だ。
きっと、ずっと、この瞬間を忘れる日はこない。
見下ろした地面は少しずつ近づいて、それがなんだかとても残念で。迎えに来る、そう言われたのに、次があるのかも少しだけ不安になる。それはただ、わざと期待を持たせて裏切る所業に慣れてしまったからであって、相手に何がある訳でもない。
「次。待ってる」
端的に。
喋りすぎて疲れた喉で返せる言葉なんて、こんなものだ。相手が何をどう考えていたのかすら、気づいていない。だから、込められた意味は単純明快で。
次の約束をしてくれたから、ここでちゃんと待っているから、と。
木にも、登らないでおく、ことにする。あの星空はとても惜しいけれど、できれば違う方法にしろと言われたから、言うことはちゃんと聞く。
相手は自分にとってこの世界で初めて「手を取ったひと」で、「空に連れて行ってくれたひと」だ。
きっと、ずっと、この瞬間を忘れる日はこない。
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思い立って、廃墟を貫いて立つ樹木の枝に足をかけて、両手で身体を引き上げるように木の上へ。無造作なそれにがさがさと枝葉が顔や手を打つが、痛み慣れしている分、あまり気にはならなかった。
格闘することしばらく。やっと屋根の上の高さに顔を出すことが出来て、小さく一息を吐く。
もとから長い幽閉と暴行で随分弱っていた上、それなりにあったレベルまで1に戻っているこの身体は、結構どんくさい。
太い枝に腰を下ろすと、片足首に嵌ったままの枷が千切れた鎖と擦れて鈍い音を立てた。
「……星。月。……空、広い」
人と会話をしないとすぐに端的どころか単語になりがちな呟きを零して、まだ夏の気配がしっとりと残る生温い夜風に左右異色の瞳を細める。
広くて高い、どこまでも続くような夜空が、とても心地よかった。
・異世界からやって来て、ほんの数日。廃墟の屋根の上の、ある日のこと。
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎