ギルドスレッド
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廃墟
けれど、自分のことは構うなと言われると少しだけじとりと相手を見返して、どことなく不服そうに。
「……これだけ人の世話を焼くくせに。君に何かあると、これから教わるなら、困る」
自分のことは構うなだなんて、ちょっと無理がある。
優しいひとは、気になる。だって、無償の善意なんて、優しいお人好しなんて、物語の中の存在だと思っていたから。相手のそれが本物なのか、まだわからないけれど。本物だったら、どれだけいいか。そう思って、手を取ったのだから。
それに、これから相手から色々と学ぶ予定なのだから、相手に何かあるととても困る。食料確保の先生がいなくなる。
それだけは言いながらも、相手が飛ぶ動作をした瞬間に慌てて腰に回った相手の腕に手を添えた。自分、どうしよう。これ、どういう体勢でいたらいいのか。
空。下に降りるまでのひと時とは言え、ずっと見ていただけのそこに行ける。心が弾まないはずがなかった。
「……これだけ人の世話を焼くくせに。君に何かあると、これから教わるなら、困る」
自分のことは構うなだなんて、ちょっと無理がある。
優しいひとは、気になる。だって、無償の善意なんて、優しいお人好しなんて、物語の中の存在だと思っていたから。相手のそれが本物なのか、まだわからないけれど。本物だったら、どれだけいいか。そう思って、手を取ったのだから。
それに、これから相手から色々と学ぶ予定なのだから、相手に何かあるととても困る。食料確保の先生がいなくなる。
それだけは言いながらも、相手が飛ぶ動作をした瞬間に慌てて腰に回った相手の腕に手を添えた。自分、どうしよう。これ、どういう体勢でいたらいいのか。
空。下に降りるまでのひと時とは言え、ずっと見ていただけのそこに行ける。心が弾まないはずがなかった。
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思い立って、廃墟を貫いて立つ樹木の枝に足をかけて、両手で身体を引き上げるように木の上へ。無造作なそれにがさがさと枝葉が顔や手を打つが、痛み慣れしている分、あまり気にはならなかった。
格闘することしばらく。やっと屋根の上の高さに顔を出すことが出来て、小さく一息を吐く。
もとから長い幽閉と暴行で随分弱っていた上、それなりにあったレベルまで1に戻っているこの身体は、結構どんくさい。
太い枝に腰を下ろすと、片足首に嵌ったままの枷が千切れた鎖と擦れて鈍い音を立てた。
「……星。月。……空、広い」
人と会話をしないとすぐに端的どころか単語になりがちな呟きを零して、まだ夏の気配がしっとりと残る生温い夜風に左右異色の瞳を細める。
広くて高い、どこまでも続くような夜空が、とても心地よかった。
・異世界からやって来て、ほんの数日。廃墟の屋根の上の、ある日のこと。
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎