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廃墟
「…どうした、やはり抱えられて飛ぶのは不安か?」
怖いのだろうかと思った。
ここに登ってるのだから高所恐怖症のきらいは無いのだろうが、やはり普段飛ぶ事に慣れてない者からすれば地面から足を離し宙に浮くというのは感覚的にとても不安が湧き上がるものだと聞いたことがある。
だから彼も、そうなのだろうかと。
そして続く回答に、更に首を傾げる事になる。
方向性の変え方をどこか間違えている返答に疑問符を浮かべながら、完全に不正解というわけでもない為に頷かざるを得ない。
確かに星を見る為には建物の天井に穴でも開いてない限り外に出るのは必須だろう。
けれど求めていたのは、「危険を冒さない様星を見る方法」だ。この返答はきっと理解していないのだろうな、と。
無知なのか、天然なのか。おそらくはどちらも含むのか。
――本日何度目かの、溜め息をついた。
怖いのだろうかと思った。
ここに登ってるのだから高所恐怖症のきらいは無いのだろうが、やはり普段飛ぶ事に慣れてない者からすれば地面から足を離し宙に浮くというのは感覚的にとても不安が湧き上がるものだと聞いたことがある。
だから彼も、そうなのだろうかと。
そして続く回答に、更に首を傾げる事になる。
方向性の変え方をどこか間違えている返答に疑問符を浮かべながら、完全に不正解というわけでもない為に頷かざるを得ない。
確かに星を見る為には建物の天井に穴でも開いてない限り外に出るのは必須だろう。
けれど求めていたのは、「危険を冒さない様星を見る方法」だ。この返答はきっと理解していないのだろうな、と。
無知なのか、天然なのか。おそらくはどちらも含むのか。
――本日何度目かの、溜め息をついた。
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思い立って、廃墟を貫いて立つ樹木の枝に足をかけて、両手で身体を引き上げるように木の上へ。無造作なそれにがさがさと枝葉が顔や手を打つが、痛み慣れしている分、あまり気にはならなかった。
格闘することしばらく。やっと屋根の上の高さに顔を出すことが出来て、小さく一息を吐く。
もとから長い幽閉と暴行で随分弱っていた上、それなりにあったレベルまで1に戻っているこの身体は、結構どんくさい。
太い枝に腰を下ろすと、片足首に嵌ったままの枷が千切れた鎖と擦れて鈍い音を立てた。
「……星。月。……空、広い」
人と会話をしないとすぐに端的どころか単語になりがちな呟きを零して、まだ夏の気配がしっとりと残る生温い夜風に左右異色の瞳を細める。
広くて高い、どこまでも続くような夜空が、とても心地よかった。
・異世界からやって来て、ほんの数日。廃墟の屋根の上の、ある日のこと。
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎