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廃墟

【RP】贄神は星を見る

 夜空が見たい。
 思い立って、廃墟を貫いて立つ樹木の枝に足をかけて、両手で身体を引き上げるように木の上へ。無造作なそれにがさがさと枝葉が顔や手を打つが、痛み慣れしている分、あまり気にはならなかった。
 格闘することしばらく。やっと屋根の上の高さに顔を出すことが出来て、小さく一息を吐く。
 もとから長い幽閉と暴行で随分弱っていた上、それなりにあったレベルまで1に戻っているこの身体は、結構どんくさい。
 太い枝に腰を下ろすと、片足首に嵌ったままの枷が千切れた鎖と擦れて鈍い音を立てた。

「……星。月。……空、広い」

 人と会話をしないとすぐに端的どころか単語になりがちな呟きを零して、まだ夏の気配がしっとりと残る生温い夜風に左右異色の瞳を細める。
 広くて高い、どこまでも続くような夜空が、とても心地よかった。


・異世界からやって来て、ほんの数日。廃墟の屋根の上の、ある日のこと。
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎

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 もふもふで、あたたかくて、手を離しがたい。
 羽も少しずつ場所によって手触りが違って面白い。
 大きな羽の硬めの羽毛としっかりした軸の硬い感触と、小さな羽毛のふわふわの感触と。中にしっかりと血肉と骨があるから適度な硬さと体温もあって、低体温の自分にとっては結構あたたかい。
 それに何より、楽しい。
 相手の翼にすっかり夢中だが、無心にもふもふ撫でる様は初めてのおもちゃを与えられた子供に見えなくもない。無表情は変わらないものの、これでもそこはかとなくじんわりと静かにはしゃいでいる。

 この世界で旅人が異質であり異端であることはわかっていても、状況的には誘拐された被害者、もしくは世界の生贄と言うべきものだとも理解していても。
 身ひとつで、生活の場や当座の生活費すら与えられずに放り出されたのは理解していても。
 実のところ、この世界に連れて来られたことに何ひとつ文句はないのだ。

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