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廃墟
翼の無い種族が一度はそう願う事があるらしいのはよく耳にした事がある。
自分に無いものだからこそ欲しがる、というよりは、共通して空への憧れが強いのかもしれない。
あの雲に手が届いたなら、あの星を掴めたなら、そういう"夢"というものは自分にだって覚えがないわけではない。命の取り合いの日々が続く中で、随分とそういった純粋な感情は擦り切れていってしまったけれど。
「……空を飛べることが、必ずしもいい事とは限らない」
それは空気にすら解けて消えてしまいそうな小さな声で、相手にも聞こえないであろう言葉。
前髪で隠された横顔は何も読み取らせてはくれない。
余計な思考に入りかけていくこの話を打ち切ろうとするかのように一度息を吸えば改めて相手を見遣り。
「ああ、旅人(ウォーカー)というやつか」
空中庭園という所に召喚された時に説明を受けた。
その時は勝手に世界線を越えて召喚されるなんて随分と不憫だな、と思ったのを覚えている。
自分に無いものだからこそ欲しがる、というよりは、共通して空への憧れが強いのかもしれない。
あの雲に手が届いたなら、あの星を掴めたなら、そういう"夢"というものは自分にだって覚えがないわけではない。命の取り合いの日々が続く中で、随分とそういった純粋な感情は擦り切れていってしまったけれど。
「……空を飛べることが、必ずしもいい事とは限らない」
それは空気にすら解けて消えてしまいそうな小さな声で、相手にも聞こえないであろう言葉。
前髪で隠された横顔は何も読み取らせてはくれない。
余計な思考に入りかけていくこの話を打ち切ろうとするかのように一度息を吸えば改めて相手を見遣り。
「ああ、旅人(ウォーカー)というやつか」
空中庭園という所に召喚された時に説明を受けた。
その時は勝手に世界線を越えて召喚されるなんて随分と不憫だな、と思ったのを覚えている。
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思い立って、廃墟を貫いて立つ樹木の枝に足をかけて、両手で身体を引き上げるように木の上へ。無造作なそれにがさがさと枝葉が顔や手を打つが、痛み慣れしている分、あまり気にはならなかった。
格闘することしばらく。やっと屋根の上の高さに顔を出すことが出来て、小さく一息を吐く。
もとから長い幽閉と暴行で随分弱っていた上、それなりにあったレベルまで1に戻っているこの身体は、結構どんくさい。
太い枝に腰を下ろすと、片足首に嵌ったままの枷が千切れた鎖と擦れて鈍い音を立てた。
「……星。月。……空、広い」
人と会話をしないとすぐに端的どころか単語になりがちな呟きを零して、まだ夏の気配がしっとりと残る生温い夜風に左右異色の瞳を細める。
広くて高い、どこまでも続くような夜空が、とても心地よかった。
・異世界からやって来て、ほんの数日。廃墟の屋根の上の、ある日のこと。
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎