ギルドスレッド
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廃墟
自分の冗談をすんなりと受け入れてしまった相手を見遣り口元に手をあて、一瞬の間。
(なるほど、冗談は通じないタイプか)と一人思う。
ひたすらに感じる視線にはじわじわと戸惑いが現れどうしたものか、と。
「…おい、星を見たかったんじゃないのか」
その視線を他へと誘導するように呟く。
見られる事に慣れているとは言えない、しかもそれが疑いの目などであればまだしも、そうではない。ただただに真っ直ぐな「好奇心」の固まりの様な視線。
――自分の内を見られそうで、落ち着かない。
鉤爪の足を邪魔するように、両の足首に繋がれた鎖が軋んだ音を鳴らす。
同じものが目の前の青年にもつけられているのは、聞き慣れた鉄の擦れる音で気付いていた。
「この高さで落ちたら洒落にならんぞ」
言いながら空を見上げれば見慣れた星空。
片側だけの視界で見てもそれはあまりに広く雄大でいて。
(なるほど、冗談は通じないタイプか)と一人思う。
ひたすらに感じる視線にはじわじわと戸惑いが現れどうしたものか、と。
「…おい、星を見たかったんじゃないのか」
その視線を他へと誘導するように呟く。
見られる事に慣れているとは言えない、しかもそれが疑いの目などであればまだしも、そうではない。ただただに真っ直ぐな「好奇心」の固まりの様な視線。
――自分の内を見られそうで、落ち着かない。
鉤爪の足を邪魔するように、両の足首に繋がれた鎖が軋んだ音を鳴らす。
同じものが目の前の青年にもつけられているのは、聞き慣れた鉄の擦れる音で気付いていた。
「この高さで落ちたら洒落にならんぞ」
言いながら空を見上げれば見慣れた星空。
片側だけの視界で見てもそれはあまりに広く雄大でいて。
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思い立って、廃墟を貫いて立つ樹木の枝に足をかけて、両手で身体を引き上げるように木の上へ。無造作なそれにがさがさと枝葉が顔や手を打つが、痛み慣れしている分、あまり気にはならなかった。
格闘することしばらく。やっと屋根の上の高さに顔を出すことが出来て、小さく一息を吐く。
もとから長い幽閉と暴行で随分弱っていた上、それなりにあったレベルまで1に戻っているこの身体は、結構どんくさい。
太い枝に腰を下ろすと、片足首に嵌ったままの枷が千切れた鎖と擦れて鈍い音を立てた。
「……星。月。……空、広い」
人と会話をしないとすぐに端的どころか単語になりがちな呟きを零して、まだ夏の気配がしっとりと残る生温い夜風に左右異色の瞳を細める。
広くて高い、どこまでも続くような夜空が、とても心地よかった。
・異世界からやって来て、ほんの数日。廃墟の屋根の上の、ある日のこと。
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎