（砕けた鏡が散乱する部屋だ）

（……あの子、寝る時は裸足だけど、痛くないのだろうか？）

…………まったく、まったく！

随分と久しぶりの下らない手を使いやがるじゃあないですか！
ええ？クソジジイがッ、この！

（何度も何度も、掌から血が溢れ出しては、鏡を焼き砕いていく。
誰にも見せないはずの怒りが、数百年ぶりに溢れ出していく）

───ッ、ハーァ……。
フン、矮小化（レベル1）の影響が出るのは分かってたけどさ。

……千年以上経つのに、まだ諦めてないわけ？
くだらない。本ッ当にくだらない。
お前に明け渡すぐらいならこんな身体は要らないと何度言ったかも忘れましたか、痴呆症ジジイ！

（普段のおとなしさ、或いは気弱さはナリを潜め、口汚い罵倒が堰を切って溢れ出る。
幼い頃に戻ったように、或いは……押さえ付けていた封印が途切れたように）

……それとも、アイツのせい？
あたしを名乗る穢らしい黒山羊のせい？
……アイツも、探して殺さないと。
アレが本当に、アタシであるのなら──
ルトヴィリア・シュルフツで、あるのなら。

…………あれ？思えばアイツ、こっちに来てる……の……もしかして……？

……まさか、あたし。

あいつの召喚に、巻き込まれたとか言うオチ……？