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シキアの樹

Aug.昼

陽の照りしきる夏の日。
青く澄みわたる空に、恵みの雲は見えず。
時折に吹き抜ける風だけが、僅かな涼を与えてくれる。



穏やかに揺れるシキアは、今日も憩い人を歓迎していた。

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そうだよー、普通の樹木ならもうとっくに枯れてるくらいの古木。爺さんでも婆さんでもどっちでも良いけど。

(ふふー、と可笑しそうに笑う表情は生気に満ちて若々しく、語る内容とは全くもってそぐわない。
 自分にとって、ヒトと言うものは等しく愛らしい。その愛らしさに種類の違いこそあれど、往々にして、彼らは幼く、目紛しく、活き活きとした存在だ。
 だから、黒いフードの影の言葉にも、懐っこさを詰め込んだような友好的な表情でにっこりと笑って見せた)

俺にとってはこの世界全部が知らねぇものだよ?
世界すら違えて尚こうな俺に、今更未知のものへの恐怖なんてあると思う?

(こう。寝転んだままで己を指差して、あっけらかんと告げる。己を見失わなければ、世界すら違えて己の知っているものの全てを失ったとしても、意外とあっさりしていられるものだった)

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