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シキアの樹

Aug.昼

陽の照りしきる夏の日。
青く澄みわたる空に、恵みの雲は見えず。
時折に吹き抜ける風だけが、僅かな涼を与えてくれる。



穏やかに揺れるシキアは、今日も憩い人を歓迎していた。

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夜鷹、ね。
おっけー三人の名前覚えた。

(それぞれの名前をもう一度口の中で繰り返し、覚えたと頷いた。長生きしすぎたせいでどうにも忘れっぽい質なので、うっかりすると記憶からすっこ抜ける。どうやら人にとってそれは随分失礼らしいので、出来る限りは気を付けたい)

そ? なら良いけど──ってサイードひでぇ!
あーレムまでぇ……俺これでも数千年くらい生きてんだけどなー。何歳だったかはっきりとは忘れたけど、もう幼木じゃねぇし、どっちかって言うと超が付く古木。
単純にお喋りなだけだよ俺。

(サイードへと文句の声を上げはした癖に、その声は楽しそうに笑っている。
 レムの言葉に雲に突っ伏して見せてぼやいて、けれど、ぱっと直ぐに上げた顔は相変わらず。
 自然界の皆や動物達に人間達、此処に来るまではそれこそ喋り相手が其処ら中に居て、みんな大好きだったから、ついつい求められるままに喋り倒していたのだ。だからきっと、そのせい)

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