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シキアの樹

Aug.昼

陽の照りしきる夏の日。
青く澄みわたる空に、恵みの雲は見えず。
時折に吹き抜ける風だけが、僅かな涼を与えてくれる。



穏やかに揺れるシキアは、今日も憩い人を歓迎していた。

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八千夜に夜鷹――貴方たちの、名前。
(透き通った指先が綴る文字。
 なめらかに空を滑る動きを、何となく目で追った。
 見慣れぬ形、けれど不思議と意味は感じ取れる。
 ……明るい調子で話すこのヒトが、夜の名を関していることがちょっぴり意外だった)
(……影が名乗る前の、束の間の空白をすこし疑問に思ったけれど。
 理由があるのかすらも分からなくて、その違和感を取り溢した。
 ただ、直前に呟かれた”ありがとう”だけは拾い上げれて。

 満足げに瞳を伏せてから、二人の名前を反芻する。
 ――覚えた。シキアが繋いだ、不思議なヒトたちの名前)

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