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シキアの樹

Aug.昼

陽の照りしきる夏の日。
青く澄みわたる空に、恵みの雲は見えず。
時折に吹き抜ける風だけが、僅かな涼を与えてくれる。



穏やかに揺れるシキアは、今日も憩い人を歓迎していた。

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(あれ、もうひとり居た。訝しげな有翼種の青年の視線に、ぱたぱたとにこやかに手を振って見せて自己主張する藤色)

(興味津々な土色の青年の様子にふふりと少しだけわざとらしく自慢気に笑って、ぽふん、と雲を叩いて見せ)
そうだよ、俺のおもちゃ。あれ、ほら、ギフトってぇの?この世界に来てから使えるようになった謎パワー。
(ふかふかの雲はとても触り心地が良いのだと主張しつつ、触る?なんて問い掛け。もし触るのなら、良く陽に干した布団よりも更にふかふかの、極上の手触りが約束されている)

(新たにやって来た少女の姿に、瞳をぱちり。邪魔、と聞くと可笑しそうに笑って)
ていうか俺も乱入者っていうか乱入者通り越して今さっき事故って混ざったくらいだし、良いんじゃねぇの?おいでおいでー。
(自分の場所ではない癖をして、無責任にもあっけらかんと。自然そのものであるこの藤の精霊に、その場が誰のものである、という認識は全くなかった)

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