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シキアの樹

Aug.昼

陽の照りしきる夏の日。
青く澄みわたる空に、恵みの雲は見えず。
時折に吹き抜ける風だけが、僅かな涼を与えてくれる。



穏やかに揺れるシキアは、今日も憩い人を歓迎していた。

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? ううん。ジャマとかは、全然。ただ少し、驚いただけ。

(きょとん。目が合った、と思えばふいに彷徨う彼女の視線に、不思議そうに瞳を瞬かせる。
 何か、気を悪くさせてしまっただろうか。彼女が纏う夜闇の色を見つめながら、口を開いて、)

……うん。オレが言うのは、可笑しいのかもしれないけれど……貴方の好きなだけ、休んだらいい。此処はもともと、そういう場所……誰でも休息できる場所、みたいだったから。
それに、ゆっくりして行ってくれたほうが、シキアもよろこぶ。寂しがり屋なんだ。

(人がたくさんいるときは、シキアも元気な気がする。
 青年は木々と会話こそ出来ないけれど。何となく感じ取っていた思いを、そのまま彼女への返答にのせた)

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