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Migrateur

《第1章》こもれび

レガド・イルシオン某所、町外れの小高い丘の上。
嘗ては人々の憩いの場所だったのだろう。
石造りの朽ちた東屋には時期を迎えた蔓薔薇が咲き綻んでいる。

生い茂る木々から零れ落ちる陽のひかりを受け乍ら。
ちいさな冒険者は目を細め、待ち人の姿を思い描いていた。

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おきゃくさま:蜻蛉
https://rev1.reversion.jp/character/detail/p3p002599

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さらさら、きらきら。
母さんの持ってた、黒い真珠みたい。

(ささやかな戴冠、自分で作った冠だけれど)
(彼女の艶やかな黒い髪に、花の彩はよく映えた)

おべんとう!
僕、お料理はまだまだ、かんたんなものしか作れないけれど……。
ね、そのときは。一緒につくってくれる?

(ナイフを手繰る手付きは覚束ないし、火の加減だって頼りないけれど)
(母の手伝いを思い出し乍ら、すこしずつ練習しているのだと。内緒話のように告げて)

お出かけするために、とびきりのおしゃれをすること。
それってとっても特別で、ふたりだけのひみつみたいでしょう?
僕、その時間がだいすきなんだ。

(女の子らしい服装こそしないけれど)
(一緒に歩くひとのことを考え乍ら着飾ること)
(ちいさな冒険者にとって、其れは特別なひとときなのだと語って聞かせ)

………………に、……にあう?

(なんて。乗せられた冠に、そうっと触れて)

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