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Migrateur

《第1章》こもれび

レガド・イルシオン某所、町外れの小高い丘の上。
嘗ては人々の憩いの場所だったのだろう。
石造りの朽ちた東屋には時期を迎えた蔓薔薇が咲き綻んでいる。

生い茂る木々から零れ落ちる陽のひかりを受け乍ら。
ちいさな冒険者は目を細め、待ち人の姿を思い描いていた。

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おきゃくさま:蜻蛉
https://rev1.reversion.jp/character/detail/p3p002599

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……おとなでも、迷うことがあるの?

(ふと。目が覚めたのだと微笑む彼女のかんばせに、ことんと首を傾いで)
(大人は何時だって頼もしくて、こうしてやさしく手を差し伸べてくれるのに)
(迷うこと。躊躇うこと。怖れること)
(其れは、自分のような子どもだけが感じるものだと思っていたのだけれど)
(次いで、強請るように。目前の彼女がひめごとめいて片目を瞑ったなら)
(直ぐに喜色を浮かべて、何度も頷き是を示し)

もちろん、もちろん!
面白おかしい冒険譚なら、僕におまかせ!

(溜め込んだ絵日記を、彼女のために朗読してみせるのも悪く無い)
(そんなすこし未来のはなしを思うだけで、そわそわと胸が浮き立つのだ)

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