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Migrateur

《第1章》こもれび

レガド・イルシオン某所、町外れの小高い丘の上。
嘗ては人々の憩いの場所だったのだろう。
石造りの朽ちた東屋には時期を迎えた蔓薔薇が咲き綻んでいる。

生い茂る木々から零れ落ちる陽のひかりを受け乍ら。
ちいさな冒険者は目を細め、待ち人の姿を思い描いていた。

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おきゃくさま:蜻蛉
https://rev1.reversion.jp/character/detail/p3p002599

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(しずしずと。優美な所作で以って此方へやって来る待ち人の姿を見付けたなら、ぱっと其のかんばせに喜色をのぼらせて)

蜻蛉、稟花ちゃん!こっち、こっち!

(ぶんぶんと手を振り自分の存在を主張して)
(彼女が傍に腰を下ろす前にハンカチを敷いてから勧めるのは、背伸びをしたいお年頃。紳士のつもりでいるらしい)

ふふふ。あの地図は僕の探険記録なの。
『見知らぬ街を恐れるべからず、己の足で開拓せよ』!
これはね、僕の母さんの受け売りなんだ――、

(差し出された紙の包みは仄かにあたたかい。なにかしらと包みを開けたなら。柔らかな香り、覗いたきつね色に感嘆を上げ)

パンだ!うれしい、丁度すこしおなかがすいてたところだ。
あっ、あのねあのね、僕はお茶とお菓子を持ってきたんだよ。

(一緒に食べよう、なんて小首を傾いで)
(ひみつきちに向けられた賞賛に、頬をばら色に染め乍ら頷いて)

すてきでしょう?
とげがあるからバラなのかなあって思いながら観察してたんだけど、これが大正解!
やっと蕾がひらいてくれたから、これを誰かにみせたかったの!

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