どんな行動をしたかの記録。
記録は大事よね？

（＜アアルの野＞ひとりの夜にサヨナラ/ラリー/ヤツェク）
思い出のある場所：砂漠の惑星のオアシス
亡くしてしまったひと：暴君の一人娘
彼女は超能力者――変身術者だった。
逃亡の姫君と出会ったのは、まだ若い密航者のおれ。
砂漠の美姫を気取る彼女の本当を知ったのは逢瀬の後。
醜かった。屍蝋の白肌に、白目のない黒い瞳。歪み痩せ細った黒髪の幽鬼。
おれは美しくあれと強制され続けた娘に、その時恋をした。

だから、真実の姿で、昔の名でおれを呼ぶならば。
ただ一撃で楽にさせよう。父の拷問で死んだひとが、せめて幻でも楽に眠れるように。
「夜魔の嬢ちゃんよ、見ているか？　次に進むために、夜の夢は醒めなきゃならん。泣いても足掻いても、朝の現実は来るんだ」

そして、思い出に、泣こう。