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街のどこかの寝床

【PPP4周年記念SS置き場】

氷雀NM登録1周年も込みでTwitterで募集し、書かせていただいたものです。
概要等はこちら↓
https://twitter.com/hijack_nm/status/1416724516902899716?s=21
希望者があれば8月いっぱいまで随時追加していきます。

まだまだ盛り上がるPPPに1PLとしても、NMとしても、楽しんで関わっていけたらなと思います!
4周年、おめでとうございます!

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キャラクターID
◆ルーキス・ファウン(p3p008870)様
◇イメージ
水着2021:https://rev1.reversion.jp/illust/illust/49382

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【掴んだ得難き幸を】


 ざざん、ざざん、と幾度と無く砕ける白波の狭間、陽光にも負けぬ金色が姿を現す。続いて伸びた力強い片腕が焼けた岩場を物ともせずに全身を引っ張り上げた。その反対の手は、と言えば。
「蛸に雲丹、昼食には豪勢過ぎるくらいに大漁だな」
 得物と獲物を確認するとゴーグルを外し、濡れた頭を振るう青年。日頃の鍛錬が窺える、眩しく雫の滴っていく筋肉に纏うのはシンプルな——

「……ねぇ。おにいさんは水着、着ないの?」
「これじゃなくて水に入る専用の服があるんですか?」

 ——太陽と少女からの熱い視線を一身に集める黒い褌だ。
 ここから少し行った所にある海水浴場の客であろう通りすがりの彼女からの問いに、晴天を映す凪のような穏やかな瞳が幼さを滲ませる。豊穣の地で育ち、素潜りを得手とする彼にとっての『水着』は生まれてこの方これだったものだから。
 特別に物知らずという訳でも無い。それでもまだ18歳と年若い彼の、普段はバンダナの下に隠されている年相応な少年の一面が垣間見えた瞬間だった。
「あっ! もしかして、わすれてきちゃった? むこうの海の家にも売ってるよ!」
 自分の目的地を指差す少女の無邪気な親切に、丁寧に礼を述べて送り出す。フリルたっぷりの水着姿とお揃いの花のような笑みで手を振る彼女が遠ざかり、ふむ、と彼は考える。
 場に相応しい衣装を見繕うのも先々のためになるだろうか——そう、いつか想い人と訪れる日のために。

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