PandoraPartyProject

ギルドスレッド

スレッドの一部のみを抽出して表示しています。

街のどこかの寝床

【PPP4周年記念SS置き場】

氷雀NM登録1周年も込みでTwitterで募集し、書かせていただいたものです。
概要等はこちら↓
https://twitter.com/hijack_nm/status/1416724516902899716?s=21
希望者があれば8月いっぱいまで随時追加していきます。

まだまだ盛り上がるPPPに1PLとしても、NMとしても、楽しんで関わっていけたらなと思います!
4周年、おめでとうございます!

→詳細検索
キーワード
キャラクターID
◆ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)様
◇イメージ
浴衣2019:https://rev1.reversion.jp/illust/illust/17764

____
【待ち人来たりて】


 てん、とん、てん。跳ねた音色が眠る草木を呼び起こす。ぼぅっと夜を煮詰めた燈は誰が供をするでもなく、気侭な童のように独りでに出で、遊び回る。

「さぁ、奏でよう……失われし月の音を……」

 ゆらり、ゆら、ゆらり。葬列のようにさめざめと。嫁入りのようにしずしずと。赤い赤い爪先が足音も無く顕れた。
 彼の供する三味線が墓所の静寂を叩き、爪弾き、描き出すのは空を遮る今宵の雲。妖しき調べは草葉の陰に、地の底に。騒めき、蠢き、聞き届けるものの声が谺する。
 なくした生命を、未来を、過去を、名を、我を慰めよ。呼ばうものらと星明かりの瞳は決して出逢わない。袖を払い、ただひたすらに撥を振る舞う。
 はて。闇を背負う青年が迎えに来たのは、彷徨える死者か、それとも——

 程なく、狐面の下に赤く灯る焔の瞳が瞬いた。月下に香る麗しの花のような貌に朱をのせ、唯一を認めた彼は謳う、ソレの名を。

 ——嗚呼、丑満時の夜の向こう、紫の闇が笑った。

____

キャラクターを選択してください。


PAGETOPPAGEBOTTOM