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街のどこかの寝床
◆ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)様
◇イメージ
浴衣2019:https://rev1.reversion.jp/illust/illust/17764
____
【待ち人来たりて】
てん、とん、てん。跳ねた音色が眠る草木を呼び起こす。ぼぅっと夜を煮詰めた燈は誰が供をするでもなく、気侭な童のように独りでに出で、遊び回る。
「さぁ、奏でよう……失われし月の音を……」
ゆらり、ゆら、ゆらり。葬列のようにさめざめと。嫁入りのようにしずしずと。赤い赤い爪先が足音も無く顕れた。
彼の供する三味線が墓所の静寂を叩き、爪弾き、描き出すのは空を遮る今宵の雲。妖しき調べは草葉の陰に、地の底に。騒めき、蠢き、聞き届けるものの声が谺する。
なくした生命を、未来を、過去を、名を、我を慰めよ。呼ばうものらと星明かりの瞳は決して出逢わない。袖を払い、ただひたすらに撥を振る舞う。
はて。闇を背負う青年が迎えに来たのは、彷徨える死者か、それとも——
程なく、狐面の下に赤く灯る焔の瞳が瞬いた。月下に香る麗しの花のような貌に朱をのせ、唯一を認めた彼は謳う、ソレの名を。
——嗚呼、丑満時の夜の向こう、紫の闇が笑った。
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◇イメージ
浴衣2019:https://rev1.reversion.jp/illust/illust/17764
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【待ち人来たりて】
てん、とん、てん。跳ねた音色が眠る草木を呼び起こす。ぼぅっと夜を煮詰めた燈は誰が供をするでもなく、気侭な童のように独りでに出で、遊び回る。
「さぁ、奏でよう……失われし月の音を……」
ゆらり、ゆら、ゆらり。葬列のようにさめざめと。嫁入りのようにしずしずと。赤い赤い爪先が足音も無く顕れた。
彼の供する三味線が墓所の静寂を叩き、爪弾き、描き出すのは空を遮る今宵の雲。妖しき調べは草葉の陰に、地の底に。騒めき、蠢き、聞き届けるものの声が谺する。
なくした生命を、未来を、過去を、名を、我を慰めよ。呼ばうものらと星明かりの瞳は決して出逢わない。袖を払い、ただひたすらに撥を振る舞う。
はて。闇を背負う青年が迎えに来たのは、彷徨える死者か、それとも——
程なく、狐面の下に赤く灯る焔の瞳が瞬いた。月下に香る麗しの花のような貌に朱をのせ、唯一を認めた彼は謳う、ソレの名を。
——嗚呼、丑満時の夜の向こう、紫の闇が笑った。
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概要等はこちら↓
https://twitter.com/hijack_nm/status/1416724516902899716?s=21
希望者があれば8月いっぱいまで随時追加していきます。
まだまだ盛り上がるPPPに1PLとしても、NMとしても、楽しんで関わっていけたらなと思います!
4周年、おめでとうございます!