ま、昔の思い出って奴だ。
俺の世界には『想起』って力があるんだが
これはこの世界のギフトみたいに程度の差はあれ誰もが持ってる力なんだ。

・想起の力とは？
呼んで時の如くイメージを具現化する力だな
大半の奴は生活に必要な道具の生成や水、一部の無機物の生成って感じで玉蝉の奴(俺の関係者)みたいな例外を除いて生物や高度過ぎるシステムの再現ってのは難しいんだ。
玉蝉の奴が研究されたおかげでものの仕組みを理解している事やそれに対して強い思いを持っている事が条件らしいぜ。
俺も例外範疇らしくて兵器やそれに類いする高度な武器を想起出来ちまうもんだからいいように使われたぜ……

・どうして想起の力は生まれたのか
この想起って力を世界に齎したのは「グランドマスター」って言われる世界を裏で牛耳っていた犯罪者だぜ。
そいつは自分の手下を世界中にばら撒いて社会の表向きの指導者として擁立してあれこれと想起の力を広げたりうちの世界の人間の進化を促してたみてぇだが何をしたかったのか今となっちゃ不明だな。
だってグランドマスターをぶっ殺したのはこの俺だからよ！
俺とあいつはちょっとした因縁があったもんでな。
そのおかげで世界を牛耳っていた悪党倒したのに俺ぁ英雄どころか危険因子として冷凍刑にされちまったのさ……
懲役は１億と５千年、無理だろこれ。
ついてねぇったらありゃしねぇ。

・そんなうちの世界
想起の力で文明は発展しまくって、混沌で言う練達なんて軽く超える程度に文明は発達して巨大ロボット兵器や自律したアンドロイドなんかもバンバン現役で稼働してるぜ
強い奴は大抵自前の想起で自衛できるから
俺みたいに想起を戦闘に使えるくせに鍛えた戦闘技術持ってる奴はそんなにいなかったな……。
想起のタイプは大雑把に

・ノーマル
生活に必要な簡易な道具や水みたいな必需品を生成出来る
殆どの奴はこれだぜ

・ハイエンド
ノーマルの上位互換でノーマルの出来ることをより優れた形でやれる、結構レアだぜ

・スミス
職人だぜ、ハイエンドに似てるが機構そのものを作るってほどではなくて部品や修復に特化した連中だぜ
ハイエンドよりはレアじゃねぇがこいつらのおかげで俺の世界の文明は発展と維持されてるから重宝してるぜ
燃料とか作れるやつもたまーにいる。
そんなのはハイエンドレアとか言われて存在が資源扱いで待遇が極めて良いか資源として幽閉されちまったりするな……

・イレギュラー
玉蝉や俺みたいに普通想起不可能な高度なシステムや生物を生成して操ったり行使する、人間災害みてぇな連中だぜ
特に一番やばい数名は概念の行使と破壊をしやがるから格が違う。

・AGについての話
俺が使うAG(アームズギア)についての話をするぜ。
最初はグランドマスターの奴が作った搭乗型作業機械って奴で重機もどき程度の能力だったんだが、段々と洗練されて生物に近い形状になったり兵器を扱うことに特化されたりって発展をしていったぜ。
サイズごとにクラスが分けられてるんで大雑把に説明していくぜ。
燃料は操者の生命力ってーと物騒だが、乗ると疲れる程度のもんなんだが
なんだかそのうち専用のE・リアクターが造られてよ
こっから本格的な兵器として発展していったんだ。

・レントクラス
一番下のクラスだぜ、サイズは3m以下で乗るロボットってよりパワードアーマとかそういう類だぜ。
歩兵の装備、工兵や民間の作業機械、アンドロイド共の拡張パーツって感じで馴染みも深いぜ。
これは稼働させるのそんなに難しくねぇからそのうち装備で作っちまうかもな！

・ライトクラス
こっから一般的にAGって認識されてる中で一番小さい3mクラスだぜ、このクラスまではリアクターは必要なく操者の生命力だけで稼働するぜ、俺が今使ってる奴もこれだな
同時に俺が想起で使える限界もこれだ。
小さいがそれなりに出力は出るしプリミティブだから一般兵の装備から作業重機まで幅広く活躍してるぜ、一番バリエーションも多い。
俺のはカスタムしてっから専用リアクターも装備してる戦闘用だぜ。

・ミドルクラス
こっからサイズ５m超えかつ２０m以内のサイズで専用のリアクターが無いと稼働に支障や生命力を吸いすぎて操者を選んだりしちまうから難しいが戦闘力は桁が違ってくるぜ。
サイズが大きいなりに色々な機構も積めるから高級師団の標準装備になったりもするし隊長機だったりするぜ。
出力の縛りがほぼ無くなってるから形状のバリエーションも自由だぜ。
確か玉蝉の奴のAGは蜘蛛型だったな……

・ヘヴィクラス
こっからサイズ上限がなくなって20m超えからやばいサイズになると数百m以上の戦艦サイズとかもありやがる。
このクラスだと複数の大型リアクターでの稼働が前提でその破壊能力も戦略級って感じで単体で世界を滅ぼすような死ぬほどやばい奴しかいねぇ。
グランドマスターの奴が使っていた彫像型200m級超巨大ヘヴィクラスは放った光線で小国消滅させるようなデタラメな化け物だったぜ……
使えば地形が変わるって行き過ぎな性能からグランドマスターの死後は禁忌として殆どが封印されたり建造禁止されてるぜ。

昔の世界についての知人や出来事を話していくぜ

・グランドマスター
本名は知ってる奴は知ってるが不明って事にしとくぜ。
くっそ頭のいい奴で手下共にはマスターって言われてたな。
犯罪者ではあるが手下共が世界各国の政府や企業のトップなんで
犯罪者ってより絶対権力を持っていたフィクサーだな。
AGや想起の力、アンドロイドや超生物と言った俺の世界の優れた発明品の殆どはこいつから生まれてる。
インテリとは思えねぇくらい優れた戦闘技術と概念を生み出す想起って出鱈目な力を持ってやがってマトモに戦えば殆ど歯が立たねぇ、ただそういう奴特有の思い上がりというか相手と同条件で戦う亊を好むから余計な事せず正面から戦えば勝ち目はある相手だぜ。
怒らせちまったら最後手段を選ばなくなるがよ。
俺とはちょっとした因縁があって恩人で遠い親戚みてぇなもんだが、ま、そのおかげでこいつを倒せたしおかげで俺は冷凍刑にされちまったんだがよ…
主な悪行は世界の秩序を作り変えて自分に逆らった奴を国ごと滅ぼしたり進化させるという名目で非道な実験を繰り返したり、不正を容認した連中を国ごと消滅させたりピンとこねぇのが多い。
俺は最初こいつの下にいたが結局喧嘩別れして倒す事になっちまったな
間違いなくクソ野郎だが怒らせなければ正々堂々した奴で部下もそれなりに大事にする奴だったから嫌いじゃなかったぜ。

・玉蝉
俺と同じ人間災害扱いされるイレギュラーだな。
可哀想に小さな頃に故郷が疫病で滅んだってトラウマで細菌を操る想起に目覚めて
そのせいでグランドマスターに目ぇつけられて洗脳されちまってな。
洗脳解くのには苦労したぜ、洗脳解けてからはちょっとした事でわたわたする可愛いやつだぜ
医者になりてぇんだそうだ。
カムイグラで医者の真似事やってるらしいがあのちょろさで生きていけるのか心配だぜ。

・小馬
シャオ・マーって読むんだぜ。
万能サポート型美少女アンドロイドって夢の存在だぜ。
肌ももちもちしてて文明の発展に感謝だぜ。
ただじゃじゃ馬ってかよく怒るんだよな……それもまた可愛いがよ。
俺と一緒に混沌に飛ばされても健気に家事やサポートしてくれるいい子だぜ。
たまに蹴ってくるがケツが割れるほど痛いぜ、要注意だ。

・九頭竜公社
公なのか営利なのかはっきりしねぇ企業だぜ。
元はグランドマスターの手下だったがそこの代表の息子と手を組んで乗っ取ってやってからは
俺の心強いバックになってくれたぜ、とはいえ俺が冷凍刑にされる時はどうしようもなかったらしいが冷凍刑になってからもたまに起こされる時は決まってこっからの依頼だったな。
なんだかんだで俺の減刑にずっと手を尽くしてくれたみたいで感謝はしてるぜ。
グランドマスターの死後は世界の衣食住から兵器まで最大シェアの大企業として活躍してるみてぇで俺もそこの製品パクったりさせて貰ってるぜ。
とはいえもう関わることもねぇから思う存分ぱくっとくぜ。

・戦争
九頭龍公社を乗っ取った後に顕在化したグランドマスターの勢力との戦争だぜ。
題目としてはチンケだが奴さんの支配に抗うって感じだな。
俺としちゃあの野郎を思い切りぶん殴れりゃそれで良かったから相乗りする形になっちまったな。
自由を求めてなんて聞こえはいいが自由なんぞ個人で幾らでも持てるもんだ。
その辺の考え方はグランドマスターの奴と同じだったから俺ぁ誰かのためにあいつを倒すって感じじゃ無かったな。奴さんから最後に言われた言葉は「お互いの身勝手から始まった喧嘩だ、最後は俺達だけで決着をつけよう」だったっけな。
奴さんを倒して世界はよりよくなったのかね、その辺考えると奴がやってた統治は自由じゃなかったが飢えて苦しむ奴も少なかったし極端な経済格差はなかったし俺が冷凍冬眠後に見た未来は逆になっちまってちっとセンチメンタルになっちまったな。
管理された世界より自由を望んだのは全員のはずだってのによ……

・最強の想起
グランドマスターの想起は「その世界に新しい秩序(ルール)を作る」ってとんでもねぇもんで
なんでもありだぜ。
あいつが「炎は涼しい」って言えば火は今までの役割を果たさなくなるし
「雨は全てを穿つ」とかいったら雨が全てを貫通する水圧水鉄砲になる。
幸いにも決闘好きな奴さんがこの力を直接戦闘に使うのを嫌ってたせいで付け入る隙になったがよ、影響力が高すぎて本人もこれを扱いあぐねていた部分はあんな……。
そんなんで兵器や病気、自然や魔法っていった色んな力を集めて打倒したんだぜ。
もしあいつがここに来て混沌肯定でこれの力が限定的になったら扱いやすさでむしろ強くなるんじゃねぇのか……？
あーやだやだ。