雨季、或いは梅雨。もしくは台風。何らかの理由でかつては川の水が流れていたけれど、今は砂しか残っ混ていない川のすぐ側の土地。

誰のものでもない。

(棒切れで線を引いている)

こっからここまで僕の領地ー！

じゃーおれ残り全部もらう―！！

あ゛ー！のこり全部もってかれた……ぜんぶ……。

く、しかしここは弱肉強食の川辺、言い出したもの勝ちの世界。少年よ、君に差し上げようその領地！

まあこの土地、私んじゃないけど。

じゃあ俺に何を差し出したんだよ！

……え？ここ川辺だったのか？

え？　うーん……領土をよくおさめてね隣人！の気持ちとかですかね……。

川辺だったのだよ。少年……ええと、そうだお名前は？
私はラァト フランセーズ デュテと呼ばれている者だよ。

やだやだ、そんなキゾクみたいなことやってられっか！

ん？俺か。そーだなー。将来は大怪盗って呼ばれる男だぜ！！
なーんてな。ま、サンディってんだ。よろしくな。ええと……ラート？

やだった。怪盗ならまぁそうかー！
……。ここ、とるものなんて私の生命位しかないけど大丈夫ですかね……？

と、ともかくサンディ君だな。宜しくー。
ラートでもフランちゃん何でも、お好きなように呼んでくれ給え。

ん？ああ、今は別段盗みに来たわけじゃねーし。領土を広げに来たわけでもねーし。
そうだ！怪盗ってのは秘密にしといてくれよな！！！

ラートちゃん！じゃーラートちゃんだな。きまり！
しかしあれだな、遠くから見てこう、子どもかと思ったけど、
近づいてみるとそーでもねえな？

よかった……うん、内緒だ。約束するよ。

こ、子どもぉ！？
あ〜……まあ振る舞いがなあ。いちお、多分身体は大人に近いよ！
と言うかサンディ君も子ども……？

この辺こう、あんま大人のレディが好きそうな雰囲気の場所じゃねーな、と思ってさ。
……多分？身体は？変なやつー。

サンディ様は子どもじゃねえやい！
多分ちょっとまだ成長期って奴がきてねぇだけだい！！
歳は数えちゃいねーけどきっとそうだ！！

あっごめん！　青年！

や、僕もそうなんだよ。齢を数えられてないっていう……なので、多分！
ま、幾つか分からなくって困る事もないよね？

お、俺のだんでぃーさが分かるか！やるな！（？）

あ、俺以外にもいたんだ。やったぜ。近くに中々そーゆーやついなくてさー。
たまーに酒場からつまみ出されることはあるが、まーその程度だよな。
あんま酒場にはいかなさそーだけど、ラートちゃん。

だんでぃ君……。

お、そうなのー？　誕生日のある友人知人が多いのは、とっても良いことだよ。それにかこつけて美味しいものを食べられる。何より目出度い！

まあ、うん。君の推察通り私は自分からは余り酒場に行かないので、ご相伴に預かること少ないんだけども！

ダン君！うーん。それだとなんかアヒルっぽいな。だめ。

中々目ざといな……！でもあれだぜ、誕生日なら俺だってあるんだぜ！！12月の2日だ！！召喚された後に俺が決めた！！！祝ってもらったことはねーけど。

まーあれか、あそこはみんな楽しそーだから俺も覗きに行ってるけど……ん？じゃー行ったことはあるんだな。やっぱ静かなほーが好きなのか？

だめか。（あひる？）
サンディ君とお呼びするっきゃない！

おお、お誕生日はある人だったか！えーとえーと12月……分かんないけどおめでとうっ！はい私がお祝い壱号ー！

ん、静かなのも好きだよ。でも楽しそうなのも、好き！

そーそー、やっぱそれが呼ばれ慣れてっからな！

だいぶ先だぜ！？まーいーけどさ。サンキュー！！
ラートちゃんは決めねーのか？誕生日。

へー。こーゆー場所にいるからてっきりこう、うるさいの苦手なんかと思ってたぜ。意外だな。

私はねー……あ！11月1日はどお？て言ってくれた人が居たから書類はそう書いたよ。12のお隣だから、サンディ君のお誕生日と大分近いな。


余りにも騒音！ばーん！て感じなのはちょっと……だけどね。人が笑ってんの見るのとかは大好きよー。

意外というならきみの方もじゃない？
友人も多いようだから、こんな寂れた川辺になんか用はなさそうだけれども……。

確かに近い！まー、まとめる程じゃねーけどな。
11月1日か……なんかあった日だっけ？まーいーや。

呼ぶ声あらばどこにでも現れるのがサンディ様だぜ！！
いやまー、誰かに呼ばれたわけでは全然ねーけど。この辺は。
川辺ってのもさっき知ったし。
なんかお宝とか隠すのにちょーどよさそーな場所だよな。

ヒューッ、格好いいなそれ！いつか呼んでみよう。

ああ、それは確かにそうだね。僕以外に人間は殆ど来ないよ。たまに川を流れてる位で。
お宝って例えばー？ティーセットとか？

まぁ、呼ぶ機会がないぐらい安全ならそれはそれでもいいけどな。

……え？流れてくるの？この砂に人間が？？ちょっと上流怖っ。そのうち行ってみるか。
お宝ってあれだぜ、ほら、埋蔵金とか……じゅうおくえんとか……化石とか？
ティーセット？それってそんな高いヤツだったっけ？

あっ危険な時にお呼びするのだね。うーん、確かにそれは安全な方がいいけども……。

そうそう、もっと上の方で川遊びとかしてるんだろね。流れてくるよー。

うん、お手頃なのもあるが、高いのもある。凄いのはじゅうおくえん……？の価値位はあるんじゃあないかな！

別になんもないときに呼んでくれてもいいんだぜ！
こう、経験上あんまりなんもねーときに呼ばれたことがない的なアレだ。

へー。そんなに流れて……じゃー逆にあんま掘んねーほうがいーかもな……。

うそぉっ！？そんなたけーやつあるのか！？
どーりでたまに貴族とかが見せびらかすように紅茶飲んでるわけだ……

いいの？　じゃあ呼ぶーめっちゃ呼……はサンディ君も大変だろうからたまに呼ぶー。

夏だからだとは思うけどね。
ん、掘る？　川を……？　大変そう。

お、おう！　あるあるめっちゃある。多分。きっと。僕はまだ見たことないが。

まー俺もな！いろんな場所から呼ばれ……てもねーけど。
まーそんな感じで頼むぜ！

夏って人が流れるのか？まーでも上流の川で遊んでた人とかいるんだろーな。きっと。
宝物ってのは埋まってるもんだろ？確かに手あたり次第はきつそうな広さだけど……

見たことないのか……どーなんだろ。国王とかなら持ってんのかなぁ。
今度街でフォルデルマンが遊んでたら聞いてみるか。

おっけー！

ああ、お宝探しの方！
そうだね。確かに色々流れてくるから、もしかしたら何か沈んじゃっているかも。

街で遊ぶようなやんごとなき方がいるのか……いい国だなあ。

宝の地図とかであるていどアタリが付けばなー。
闇市とかにあるかな？ここらへんの宝の地図。

いい国かぁ？国王ってのはもっといろいろやることあんだろ？多分。
ほらなんか……なんだろ……なにしてんだろ国王……

ううーん、どうだろうな。
白紙の地図とかはよく貰うんだけれど……あ！それにここの地図を書けば！？

なにしてんのか分からんより、あー今日も元気に遊んでるなあって思える方が良くない？
まあその、遊んでばかりなのも、うん。良くないけれども。

俺が書いたって宝の場所しらねーもん！
誰か知ってる奴に書いてもらわなきゃー意味ないぜー！

まー、城から出てこないとこう、暗殺されたのかな……とか……
お目付け役の花の騎士につかまってんのかな……とか思うけど。
エラいんだから俺より遊んでんのはダメってもんだろ！！多分！！

お宝の在り処を知っている人が素直に地図を描いてくれるとも思えないし……むぅ、難しい。
サンディ君はいつもこう言うのを探したりしてるのかな、凄いねぇ。

そ、そこまで言われる程なの！？
その人、散々遊びたくてエラくなったのかも知れないなあ……。

そこはほら、こう、古代の悪い奴とかエラいヤツとかが自分の溜めたお宝を隠しつつ、自分で忘れないように書き記したみたいな地図をだな、こう……うーん、ベンタバールのよーにはいかねーか。

遊んでていーなら俺だってエラくなりたい！

ふむ、ベンタバール……？　そう言う職業かはたまたお知り合い、かな。
この流れで出てくると言う事は、その方？はきっとお宝を探すのが上手なんだね。

お！　ではサンディ君がエラくなったら是非お茶に呼んでよー。

俺の知り合い(※関係者)だぜ！！お宝探しがうまい……うーんどうだろな。
なんかすっげー遺跡とかしっかり見つけてくるし、割と踏破もしてるっぽいんだけど、
なーんかガラクタとか呪いの品とかばっか掴んでんだよな。

お茶会とか開くんだと、国王が開くと何十人も呼ばなきゃいけなさそうで大変だ。
どのくらいがいいかな……伯爵、もちょっと大変そうか。

へえ！　遺跡をいくつも。それは凄……あ、ううーん。前者はともかく呪いの品とは。
サンディ君は無事そうだけれど、その方もお元気にしてるといいなあ……。

人数問題もあったか。
爵位らへんは国によって複雑だったりするものね。私は男爵と言う響き、格好よいと思っているよ。
どう？　サンディ男爵！

まー元気だとおもうぜ。あの感じじゃとーぶんしなねーだろ。

サンディ男爵！うーん悪くねーな。
男爵になればこう、いい感じに格好いいひげとか生えるかな？

信頼関係……。
そっか、だったらよいのだ。

えっ！　お髭はどーだろーな……？
でも男爵って、確かにお髭のイメージあるよね。うむむ。付け髭とか？

つけひげ！なんかでもつけヒゲわざわざやるのってガキっぽくねー？
こう、もっとこう、内側からあふれるオトナのヨユーみたいなヤツがさ。そのへんに落ちてねーかな。

あ〜、逆に。一理あるかも知れない。

落ち……え、えーと。あ！　サンディ君の顔、おひげで隠れちゃうの勿体ないと思うなー私ー。

お？そう？なかなかいいセンスしてるじゃん。
さわやかさんでぃ！やっぱこっちか。

ふふん、でしょうー？

そうだね、爽やかな怪盗。いいと思うよ、お髭とかない方が夏っぽい（？）し！

怪盗って夏の生き物なのかな……

分かんない！　でもほら、木が季節によって紅葉するように。森の生き物が冬には白くなるように。

夏には夏の怪盗があっても、良いんじゃないかな！

夏の怪盗……より一段とクールじゃなきゃいけねーな！
今のいっちょーらだと暑そうだから……なんかこう、涼しげな感じの衣装……でも水着とかはあんま怪盗じゃねーしな……

っと、そっか。そろそろ俺は街に戻んなきゃいけねー時間になっちまった。
悪いな。中々面白かったぜ！またな！！

おお、私もとても楽しかったよ。
またねぇー。