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ギャザリング・キャッスル

【PPP3周年】Twitter投稿作品投下スレ【おめでとう】

ここはPPP3周年をお祝いするSS作品を投下していくメタスレッドです。

投稿可能文字数上限が1000文字であることを生かして、1000字で完結するSSを投下していきましょう。
投下出来たら、右上の日付ボタンを押して発言を抽出してください。
そしてそのページのURLをTwitterにハッシュタグを付けてツイートすればOKです。
なお、SSの内容は問わない模様です。
公序良俗に引っ掛からない範囲とはなりますが、好きに書き連ねればそれがあなたの愛です。誇りましょう。

参考:https://rev1.reversion.jp/page/3rdContribution

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⚫︎2020.05.07『召喚前夜』
 ーーがらんと音を立てて、主無き剣が石畳の床へと転がる。
 そしてそれは即ち、私がその剣を振るっていた男を殺したからに他ならない。
 鉄と石が鳴り響かせる音色は乱雑で空虚だ。
 ……この音を聴くのも何度目だろうか。
 名も知らぬ男に突き刺した刀を引き抜くと同時に、刀身へとこびり付いた血が刃紋を曇らせる。
 これは直ぐにでも綺麗にしてやりたい所だが、そうもいかない。
 気付かれればすぐに誰かが来るだろう。
 だからこそ、急いで走ってその場を離れる事にした。
 返り血の付いた貌と服を見窄らしい外套とフードで隠しながら、曲がりくねった裏路地を通り抜ける。
 道中、同類(雇われもの)や孤児らしき姿を何度か目にするもののーー無視する。
 この国(鉄帝)では日常風景の一部とさえ思える彼らの姿は、この三年で何十何百と目にして来た。
 ……とは言え流石に移動要塞なんてものは一度しか見た事は無いけれど。
 そこまで思考すると、二ヶ月前に此処ーースチールグラードへ向けて侵攻していたあの威容を思い出す。
 名前は知らず、ただ巨大要塞とのみ知るそれ。大聖堂のように聳えていたモノ。
 私は、それを見ている事しか出来なかった。
 ただ逃げて怖れていた。
 自分の生命と約束だけが持ち物で、それだけが生きる理由でしかないから。
 ーーそして思考を止めて前を向けば、いつの間にか行き止まりに当たっていた。
 しかし背後から付いてくる気配はない。これなら一安心と言った所だろうか。
 徐に路地の壁に寄り掛かり、座り込む。
 次いでフードを外して息を吐きーー空を見上げた。
 今の時刻は夜で、空は晴れ。
 星々の瞬く夜空を観ながら、ぼんやりとした思考が渦巻く。
 今日の夕飯のアテはどうしよう。
 今日の寝床は何処で取ろう。
 明日の天気はなんだろう。
 次の依頼人は誰だろう。
 ーーこの日々が終わるのは、いつだろう。
 そう考えると、薄らと眠気が襲い来る。
 ……駄目だ。「寒い所で毛布も無しに寝てはいけない、風邪を引くじゃないか」
 昔、母にそう言われた言葉を反芻する。
 寂しくて悲しくて……けれど複雑に想う母の姿。
 次いで浮かび上がるのは、恩人の懐かしい顔と交わした約束。
 ……そうだ。約束した。
 約束して、決意した。
 私は、あの人との決着が付くその日まで生きるのだと。
 そう決めたんだ。
 ーーだからこそ私は、生きる為に剣を取った。

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